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ジャズを頻繁に聴き始めたのにつられてアナログ・レコード聴く機会が増えてきた。 そんな中82年にリリースされたピエール・バルーの"Le Pollen-花粉"もよくターンテーブルにのる一枚。 ピエール・バルーの東京の弟たちともいえそうな加藤和彦、高橋幸宏、坂本龍一、鈴木慶一、清水信幸、清水靖晃といった面々がうれしそうに、楽しげに、愛情を込めてバックアップしている。 それに応えるバルーの歌はへたっぴだけど生成りの手触りで素直にこころに沁みてくる。 これは加藤和彦の代表作”ベル・エキセントリーク”に入っていても違和感のない、バルーの詩にトノバンが曲をつけた当時の東京サウンドの鏡ともいうべき名曲 "Pepe" 高橋幸宏作編曲の表題作"Le Pollen"。 デイヴィッド・シルヴィアンもゲスト参加してなんだか和気あいあいと楽しげです。 昨年の終盤から寝ても覚めてもマイルスの日々。 気づいたことがいくつもあったような気はするものの 全部忘れた。 ひとつだけ焼け残った記憶を忘れぬうちに書き留めておく。 いつも新しい発見に満ちているブログ”続・年間通してベスト・アルバム選び”の ジェイムス・ブレイクに関する記事(昨年五月)における 「ロボットの声として使われてきたヴォーカル加工装置を、 180度転回させて、生身の声よりも人間らしい響きとして聞かせてしまった」 というオートチューン/ヴォコーダーに関する鋭い指摘には心踊らせたものだが マイルスのミュートにもどこかこれに似た想いを抱かずにはいられない。 極めて肉声に近いトランペットという楽器に装着されて 増幅されたメタリックな響きは ラッパ吹きのこころの内を探査するソナーようで その微細な揺らぎを少しも損なうことなく投影し 映画撮影において昼日向を真夜中に一変させる デイ・フォー・ナイトのフィルターさながらに 聴き手の眼下の景色を一気に月光の青に染め上げる。 かのトランペッターはこの新たな”こぶし”を手に ブルースの更なる深みに至った、のかな。 Joe Henry / Reverie ジョー・ヘンリー / リヴェリー 音数こそ少ないもののどこまでもドラマティックに鳴るピアノ。 リズムのキープを半ばベースにまかせたパーカッシッシヴなドラム。 そしてヴォーカルに込められた息苦しいほど過剰なエモーション。 作品との間に適正な距離を置くスタンスを避けて 作品世界にどっぷり身を浸すようなプロダクションは 曲の良さを少なからず減じているように思える。 が、これが好きで好きでたまらない。 この録音の中の何がこれらの瑕疵を引き受けた上で 他を圧するような輝きを放つのか 未だによくわからままもう三ヶ月休まずに毎日聴いている 僕の2011年のNo.1です。 あけましておめでとうございます。
当地(伊豆の付け根、駿河湾の一等奥地))はおだやかなよいお正月でした。 浜田真理子の歌謡曲〜ポップスのメドレー・セットが大好きで 時々無性に聴きたくなるのだけれどこのお正月に久々にその「無性」が訪れた。 選曲、組み合わせ、繋ぎ方がとにかく絶妙。 ”逢わずに愛して〜Do Right Man”とか”湖畔の宿〜Cry Me a River”とか。 特に一度あちらの歌に移ってからいま一度歌謡曲に戻って来るあたり泣きそうに良い。 おだやかで落ち着いた声だから一層揺さぶられてしまう。 この歌は世代的にもツボの中のツボで不意打ち的に流れて来たら号泣ものです。 ひとしきり泣いた後今回はオリジナルも聴きたくなって You Tubeを覗いてみたらちゃんとあるじゃないか 屋根の上で真理ちゃんといっしょのヴァージョンが。 泣いたよ泣いた。泣きじゃくっちゃったよう。 マチャアキ歌うまいなあ。 後ろ向きなお正月です。
あっという間に冬至も過ぎ去って今年もあと僅かとなりました。
レコード大賞では細野さんが最優秀アルバム賞だという話で番組のトップで生出演までなさるとか。 時代は変わったなあ。 ということでmiracle-muleでも本年発売のベストファイヴを選んでみました。 半端な数字になったのは今年発売になった新譜を十枚以上買ったかどうかあやしいから。 ものすごく少ない枚数の中から厳選されたまるで権威のないアウォードです。 一位)Joe Henry / Reverie とても良さそうなんだけどいまひとつピンと来なくてどこかポイントを聴き逃しているはず、と聴き続けていたらどこがポイントかも解らぬまま中毒になってしまった。 二位)Tom Waits / Bad as Me ノイズもぺろりと飲み込んだ久々にぐっと来るトム・ウェイツのロック・アルバム。 胃袋がでかくて丈夫。 三位)James Blake / James Blake 気持ち良さと悪さの境い目の渦に巻き込まれる不安と恍惚。 四位)David Lynch / Crazy Crown Time 気持ち良さと悪さの境い目でダンス、ダンス、ダンス。 五位)Calendula / naomi & goro & 菊地成孔 ボサの不気味な美しさをさらりと聴かせるは菊地凄い。 今度は是非坂本のピアノとデュオでお願いします。 次点)Raphael Saadiq /Stone Rollin' 一服の清涼剤。今年一番のパーティ・ミュージック。 特別賞 The Beach Boys / Smile ロック黎明期に生まれてかけその40数年後にやっと生まれたポスト・ロック。 うーん。 輝けといいながら不気味さが勝ち気味であんまり輝かなかったかなあ、第一回。 今年もお世話になりました。 来年は五日スタートになります。 良いお年をお迎え下さい。 ではでは。 ミュージックSNS「last.fm」に加入するとアーティストごとに自分が i Tunes(PC)とi Podでプレイした延べ曲数がわかります。 この二年半のトータルでは 1)Scott Walker 2136曲(回) 2)Rufus Wainwright 2025曲(回) 3)Jorge Drexler 1876曲(回) という具合で、これをこの12ヶ月で区切ったら以下のようになりましたです。 (家やお店や車でプレイした回数は含まれていませんがおおよそこの上位に均等に振り分けられるので順位に変動はないかと) 1)菊地成孔 1311 2)Antony and Johnsons 841 3)菊地成孔とぺぺ・トルメント・アスカラール 839 4)Jorge Drexler 732 5)Scott Walker 449 6)The Style Counci 414 7)Glenn Gould 333 8)Janelle Monae 333 9}James Brown 303 10)Bruce Springsteen 259 11)David Sylvian 238 12)James Blake 237 13)Mick Ronson 223 14)Joe Henry 212 15)Tom Waits 194 16)The Beach Boys 189 17)David Lynch 165 18)The Walker Brothers 154 19)Joni Mitchell 150 20)Al Kooper 121 一位の菊地成孔はほとんどソロのセカンド”南米のエリザベス・テイラー”だけの回数。 単独のアルバムでこれだけ聴いたのは自分史上初めてかも。 このアルバムに関しては書きたいことが山ほどあったのだけど、我がことながら日々インプレッションが異なって、今日の感想が昨日の感想を押しのける躁状態の毎日で結局まとまった感想は書けず終い。 でも気に入り過ぎた作品にはこうしたことはありがちで去年のマイ・フェイヴァリット候補Antony & the Johnsons の"Swan Light"も同じような理由で書けなかった。 七位のJanelle Monaeも同様。 あんまり惚れ込んじゃうと口が重くなるのかな。 中学生の初恋みたい。 今年は久々にマイルス他ジャズもよく聴きました。 来年はもっと機会が増えそうだなあ。 ジャズのCD今異常に安いしね。 菊地最高! ScottもRufusも負けるな。Sylvianもね。 マイルスもスタン・ゲッツも今月はパス。 ひょんなことから(でもないか。レコード・コレクターズ読んでたんだから)10月にヴィヴィッドからヘンリー・ギャフニーの二枚(この人のディスコグラフィはこれで全部)が発売されていたのを発見。 76年の"Waiting for a Wind" 78年の"On Again, Off Again" 初回限定生産とのことで瞬時にオーダー。 発売当時耽溺したこの二作品のCD化を長らく熱望してきたもののなかなか実らず友人にLPを送ってCD- Rに焼いてもらい飢えをしのいで来ました。 数年前にあったCD化の話も立ち消えになって、以来泣き暮らして来たのだがやっと救われた。 発売からひと月以上も遅れをとったのは癪だけどまあ(CD 時代になってから)25年以上待ったんだから。 うれしいな。 "Smile"リリースよりもっとうれしい。 我慢に我慢を重ねてやっと辿り着いた月初め。
月末には指先が勝手に震えて難儀しました。 Amazonのほしいものリスト(ホントにこういう名前のリストがAmazonにあるのです。あんまりですね)に入れておいたCDの中から厳選して 若干のやましい思いを押さえ込みつつ注文ボタンをポチっと押す。 もう大丈夫。 今月はブライアン・イーノのひとつ前のを一枚と ブライアン・ウィルソンのガーシュイン・カヴァー集と YMOの1st(二枚組)をポチ。 あと何にしようかなあ。 スタン・ゲッツ とマイルスとライ・クーダーと... 他に何があったっけなあとどんどんページをめくって リストを古い方へ22ページ遡っていく。 一番古いのが三年前の意外やリチャード・ハリス”マッカーサー・パーク” お次ぎがマーク・ベノの”雑魚” へえ.. 全然忘れていた「ほしいもの」は 果たして「ほしいもの」なのかしら。 ![]() ザ・ビーチ・ボーイズ / スマイル The Beach Boys / Smile まぶし過ぎるほどの日差しが注いでいるにもかかわらず ほとんど影というものが見当たらない本作を繰り返し聴くうちに ブライアン・ウィルソンはこの"Smile"が行き詰まる以前から どこか心を病んでいたのじゃないかと思 えてきた。 彼の繊細緻密な美し過ぎる室内楽は本来その音楽の内にあるべき影を どうしてか聴き手の心に落としてしまう。 ブライアン・ウィルソンの音楽に深く感動する時 普段経験しないような不安定な心持ちになることがある。 闇を必要としない陽光を閉じ込めた鏡張りの世界は 時として暗黒のリンチ・ワールドなどより実際の効果としてずっと恐ろしい。 ロック黎明期に生まれてかけその40数年後にやっと生まれたポスト・ポスト・ロック。 ![]() ![]() ![]() デイヴィッドリンチ / クレイジー・クラウン・タイム リンチの映画を観て本当に怖い思いをするひとってどれくらいいるんだろう。 映像といい音響といい 触れれば美しさと気持ち悪さがべっとりと糸を曵く異様さに 驚きはしてもそれはやっぱり恐怖とは少し違う。 観客の思い入れを拒絶するキャラクターの カイル・マクラクランやローラ・ダーンの身(と四角い口もと)を案じ 観客が彼らになり代わって恐怖できるものかどうか。 恐怖にしがみつきたい観客を恐怖からひきはがし 宙づりになった観客を気持ち良さと悪さが渾然となった負の快楽に浸して 官能の暗闇で踊らせ続けることが監督リンチの欲望なのじゃああるまいか。 そしてこのクレイジー・クラウン・タイム。 思い切り加圧、減圧され歪められたおどろおどろしいサウンドの ブルースとブルース・ロックとハウス・ミュージックは 緩急の差はあれどれもデジタルにダンサブル。 上ものがどんなに爛れていても 下部構造のビートはジャストにキープされたままだ。 映画における暗闇のコンダクターは ここではどこまでも歪み切った自らの歌とギターで 聴き手に熱狂とは無縁な気の滅入るでも脳のどこかを酔わせたダンスを いつまでも踊らせ続ける。 初期ロクシー・ミュージック(フォー・ユア・プレジャー)にも繋がる魅力の 怪しい傑作。
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