マーク・リボー/キューバとの絆
Marc Ribot y los Cubanos Postizos / The Prosthetic Cubans
ジャズ寄りのギタリスト、マーク・リボーによる
キューバ音楽=アルセニオ・ロドリゲスへのオマージュ。
アメリカ本土から離れ「裏庭」キューバの音楽を掘り起こせば
その照り返しの中にアメリカの今もまたおぼろげに浮かび上がる。
クラベスが、遠くで鳴る夜回りの拍子木のようにうら寂しく響き
まろやかなアルセニオ・ロドリゲスのトレスを
リボーのぎらつくギターに置き換えると
典雅なソン(ハバネラ)の世界が
国を追われた無法者たちの吹き溜り、紫煙に沈んだハバナの安酒場に一変。
ブッチ・キャシディとサンダンスキッド、ボニーとクライドの顔も見える、
ような気がしてくる。
偽のラテンにはいつだってやられ続けて来た自分だけれど
パンクなウェス・モンゴメリーみたいなリボーのギターの魅力を前にして
またもやコロリといかれてしまった。
溢れるセンティミエントとサボールへの想いに溺れて
またラテン魂に火が点きそうでさあこれは困ったぞ。
1998年の作品です。
これでハートに火を点けて。