49度線讃歌

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k..d.ラング/49度線を讃える歌
k.d.Lang / Hymns of the 49th Parallel

妻のお気に入りのカナダ人作家アリステア・マクラウドの長編小説
”彼方なる歌に耳を澄ませよ”(新潮社クレスト・ブックス)を
薦められるともなく薦められて読んだ。
カナダの東端の島に居をかまえたスコットランド移民の数世代にわたる生活を通して
「生きることの哀しみ」をこんなにも静かに気高く描き出した作品を他に知らない。
ニール・ヤング、レナード・コーエン、ジョニ・ミッチェル、
ブルース・コバーン、ロン・セクスミス、ジェーン・シベリーら
同じカナダ人音楽家の作品を集めてカヴァーしたk.d.ラングの本作は
この小説と驚くほど似た北緯49度以北の世界に聴き手を導く。
カナダ人の歌う哀しみは
いっときの激しい悲嘆というよりも
アイリッシュの伝承歌やカウリスマキの映画にも通ずる
いつも傍らにある哀しみとでもいうべきもので
それは一世代で完結することなく喜びとともに代々引き継がれ絶えることがない
というのはこちらの思い込みに過ぎないのだろうけれど。
彼らの歌にある哀しみは隙き間なく敷き詰めるように心に降りた霜のようで
彼女はその霜の結晶のひとつひとつを漏らさず歌い込んでいく。
痛いほど冷たい霜が手のひらで溶けて行くのを見つめるが如き彼女の歌声は
心の痛みそのものを生きているかのようだ。
哀しみは喜びにも増して私たちの心を深く耕す。

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これまたk.d.の讃歌
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by miracle-mule | 2009-01-21 03:04 | アーカイヴス
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