ゴースト・イン・ザ・マシーン

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富士市の比奈にある比奈カフェさんの斜め向かいの線路沿いは
岳南鉄道の廃車置き場のようになっていて
これは以前電車を乗り継いで比奈カフェを訪れた連れあいが
発見し騒いでいた強烈な物件。
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線路を跨いで貨車の間に入ると周囲の騒音がカーテンを引いたように退く。
積もった時間の塵が現世の音を吸い取るかのよう。
すぐ横の路を走り抜ける車のエンジン音も遠い雷のようにくぐもって響き
かえって静けさを際立たせる。
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塗装は剥がれ鉄は錆び天井は縁が抜け落ち窓は割れ
どれもこれも見事に朽ち果てている。
電車としてはもう何年も完全に死んでいるのだけれど
現役の電車よりもずっと多く語りかけてくるものがある。
近頃は古いというだけでほとんど無条件に共感を抱きがちで
年季の入った女房殿までありがたく見えて来る始末だ。
壊れたタイプライターだとか使うあてのない靴型だとか
固まってしまったインクとその壜などといった
用をなさないものを愛でる気持ちも少しわかるような気がしてきた。
使用価値を失ってもモノはそこにあって何かを語るけれど
博物館に入れてもらえなければ
いつの間にかひっそり退場して忘れ去られるばかりだから
自分だけでも耳を澄まして覚えておこうと思うのは
単に自分も同じような存在になりかけてるからかしらん。
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by miracle-mule | 2010-11-06 03:03 | 街のバロック
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