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目下の一曲 1

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ザ・ビートルズ / アイ・ウォント・ユー

高校時分怖くてひいひい言いながら聴いていたベスト3が
キング・クリムゾンの”21世紀の精神異常者”と
マイク・オールドフィールドの”チューブラー・ベルズ”と
ボウイの”永遠に周り続ける骸骨家族の歌”
が、上には上がというか下には下がというか
あんまり怖くて聴くに聴けなかったのがビートルズの(ジョンのと言った方がいいかもしれない)この曲。
たいてい”アビイ・ロード”はこの曲を飛ばして聴いていました。
微妙にアレンジをずらしながら執拗に繰り返される異様にシンプルなリフ。
痛々しいほど弱々しいすがりつくようなジョンの歌声。
その声を踏みつけにして瀬戸際へとジョンを追いつめるかのごとき
堂々とうねる(好人物で無神経な)ポールの圧倒的に見事なベース。
そして砂嵐のノイズと避けようもなく訪れる
ジョン・レノンが「ビートルズのジョン」を葬ったあの衝撃の7分45秒。
”アビイ・ロード”は裸足のジャケット写真から
ポールの死亡説が流れ出したいわくつきのアルバムでもあるのだが
あの時亡くなったのはもちろんポールではなく
ひとりのビートルとしてのジョンだった
というのがこの頃この曲を聴く度に頭をもたげる僕の邪推なのだけれど
だからこそ自分の最も深いところへ届く祈りの歌として
聴こえてくるのではなかろうかこの曲は。
by miracle-mule | 2011-04-08 03:26 | ノート
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