マイルスのヴォコーダー



昨年の終盤から寝ても覚めてもマイルスの日々。
気づいたことがいくつもあったような気はするものの
全部忘れた。
ひとつだけ焼け残った記憶を忘れぬうちに書き留めておく。



いつも新しい発見に満ちているブログ”続・年間通してベスト・アルバム選び”の
ジェイムス・ブレイクに関する記事(昨年五月)における
「ロボットの声として使われてきたヴォーカル加工装置を、
180度転回させて、生身の声よりも人間らしい響きとして聞かせてしまった」
というオートチューン/ヴォコーダーに関する鋭い指摘には心踊らせたものだが
マイルスのミュートにもどこかこれに似た想いを抱かずにはいられない。
極めて肉声に近いトランペットという楽器に装着されて
増幅されたメタリックな響きは
ラッパ吹きのこころの内を探査するソナーようで
その微細な揺らぎを少しも損なうことなく投影し
映画撮影において昼日向を真夜中に一変させる
デイ・フォー・ナイトのフィルターさながらに
聴き手の眼下の景色を一気に月光の青に染め上げる。
かのトランペッターはこの新たな”こぶし”を手に
ブルースの更なる深みに至った、のかな。
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by miracle-mule | 2012-01-20 02:02 | ノート
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