スコット・ウォーカーのおさらい

12月にスコット・ウォーカーの新作Bish Boschがリリースされる。
小学校高学年で一度はファンになったものの
その後ずーっと見失ったまま40年余の時が過ぎ
2009年DVD"30 Century Man"リリースのニュースを機に再会してファンに復帰。
という経緯もあって彼の新譜の発売を心待ちにするという体験は
今度が初めて。
おそろしくうれしいもののそわそわ気もそぞろで落ちつかないこと夥しい。
こんな時は過去の名作に浸って心を鎮める。
以前書いた自分の記事を読み直して”へえ”というのもまた一興。

The Drift はこんな風だった。

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スコット・ウォーカー / ザ・ドリフト
Scott Walker / The Drift

或る日腹を空かせて凍えながら森の中を歩いていると
熊に出会ったのでこれを殺して空腹を満たし
腹を割いて中に入り込んで夜を明かした。
森は静かだったけれど
熊の中は温かで体液の動く音やガスの生まれる音や
臓器のずれる音で賑やかだった。
また或る日森を歩いていると
腹を空かせた熊が懐かしそうに僕を食べた。
熊の中は胃液が僕を溶かす音や腸のぜん動する音で
やっぱり賑やかなのだった。
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”ザ・ドリフト”の世界は温かい。
不気味と感じられる響きは心と体がまだ不可分な
始まりの場所を編み上げている音そのもののように聴こえる。
読むのではなくその世界を想像的に体験する神話みたいに
聴くのではなくその中に身を投げ込んでしまいたい世界。
”ティルト”で解体された音楽の組織は
酸で溶かされ酵素で断ち切られて一層消化が進み
音楽と非音楽の境い目にぎりぎりまで近づいたように思えるけれど
それがこんなに心地良いのは不思議としか言いようがない。
やっぱりどうしようもなく音楽的。
これが一曲め。一番ポップな”Cossacks Are "
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by miracle-mule | 2012-10-06 02:25 | ノート
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