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新着案内/タンジェリンの夢

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ブライアン・ウィルソン/ラッキー・オールド・サン
Brian Wilson /That Lucky Old Sun

身を乗り出すようにしてロック・ミュージックを聴き始めた
60年代の末から70年代の頭の頃
ビーチ・ボーイズはすでに流行のカヤの外で
正直もう終わった人たちといった感じだったのだけれど
その時点で流行遅れだった音楽の構造をほとんどいじらずに
40年を経て再び音楽的な(セールス面は別にして)ピークを迎えるなんて
誰も予想しなかったことだろうし
本人だってそんなこと思ってもみなかったろう。
(God Only Knows..)
チャック・ベリーやフィル・スペクター、マーティン・デニーなどの仕事を参照しつつ
自分の明解な型を作り上げ
その型を磨き上げては強度を増すことに専心したあげく
その見事な型の存り様の故に長く時代から取り残され
同じ理由でまた時代に迎えられるというのは
どんな気持ちのするものか。
ここに聴き取れる南カリフォルニア(アメリカ)の
無垢な輝きといったものはもはや現実にはどこにも見当たらない
ブライアンのブライアン的現実の中にのみ生き続けているものだろうが
(Forever She'll Be My Surfer Girl..)
だからこそ失われた最後の神話的世界の残り香に少しでもこころ魅かれる者は
新作と聞けばそこに身を浸すことを渇望せずにはいられない。
っていうかもう浸るを超えて溺れそう。
リアリティに欠けると言えばそれはそうなのかもしれないけれど。
悪夢のような人生を生きた音楽家の夢のような一枚。

ブライアンの元気な姿と歌声ははここでちょっと。
by miracle-mule | 2008-10-19 00:11 | 新着CD
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