カテゴリ:新着CD( 109 )

2JG(ふたりのジェイ・ギャツビー)

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The Bryan Ferry Orchestra / The Great Gatsby
ブライアン・フェリー・オーケストラ / グレイト・ギャツビー

前作からあっという間にリリースされた
The Bryan Ferry Orchestraの第二作は映画「グレート ギャツビー」のスピン アウト企画。OSTとは趣きも選曲も異にしたGood Old Jazz仕様。
新たなアレンジを施した”Love is the Drug”。
枯れ切ったFerryのヴォーカルの引力が怖ろしい。
生き延びてしまったGatsbyとしての自負と悔恨のなせる業か。
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by miracle-mule | 2013-08-29 02:01 | 新着CD

ロッド・マッケン

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Rod Mckuen / Listen to the Warm
ロッド・マキューン / リッスン・トゥ・ザ・ウォーム

昔ロッド マッケン。
今マキューン。たまにある表記の変更だけど
やっぱり慣れ親しんだマッケンがいい。
ここまで心にしみる声、語る声を他に知らない。
遅ればせながらと言うにはあまりに遅ればせな巡り会い。
40年は同時代をともに歩めたはものを。
失った時間はあまりに膨大で取り返しようがないが
気をとり直してひたすら聴く。
というか声に身を浸す。
青みを取り戻さんとする乾いた苔のような心持ちがする。


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by miracle-mule | 2013-03-17 02:08 | 新着CD

文学の旅、音楽の旅



旅行の目的は(ほとんど)すべての場合ー
パラドキシカルな言い方ではあるけれどー
出発点に戻ってくることにあります。
小説を書くのもそれと同じで、
たとえどれだけ遠いところに行っても
深い場所に行っても
書き終えたときには
もとの出発点に戻ってこなくてはならない。
それが我々の到達点です。
しかしわれわれが戻ってきた出発点は
我々が出て行ったときの出発点ではない。
風景は同じ、人の顔ぶれも同じ、
そこに置かれているものも同じなわけです。
しかし何かが大きく違ってしまっている。
そのことを我々は発見するわけです。
その違いを確認することもまた
旅をすることの目的のひとつです。

村上春樹のインタビュー集にあるこの一節を
スコット・ウォーカーの音楽の旅に重ねて読んだ。
そしてスコットの音楽を聴くという行為にも。
スコット・ウォーカー、70歳おめでとう。
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by miracle-mule | 2013-01-16 05:16 | 新着CD

セイレーン三態

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メロディ・ガルドー
Melody Gardot / Absence

行き着く先の知れないマイルス地獄(天国)から
真っ当な世界に連れ戻してくれたのは
レナード・コーエンでもルーファス・ウェインライトでもなく
まだ二十代のメロディ・ガルドーだった。
凄い。
底が知れない。
手に余る。
ブラジルを中心とした南米色が濃厚なのだけれど
サンバをやっていてもその向こうに強くブラック・アフリカが香る。
ポール・サイモンが播いて育てた果実は
ガルドーの上にこれでもかとたわわに実ってしまったかのよう。
アフリカ/ブラジルの深く濃い世界を驚くほどさらりと聴かせる一方で
湿気を含んだふるえる歌声はよく寝かされたウイスキーのように
とろりと舌に乗ったあとで
灼けつくように胸を焦がす。
図抜けた才の歌姫のエロスも香しい新作は
目下今年のベスト・アルバム。

鮮烈な印象のアルバム・カヴァーは
どうしても37年前のこの写真を思い出させる。
Roxy Music / Siren
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ついでにこれも。
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by miracle-mule | 2012-06-18 02:33 | 新着CD

マイルスの酩酊ファンク



Miles Davis / On the Corner
マイルス・デイヴィス / オン・ザ・コーナー”

猛威をふるった”ゴー・ウエスト”の嵐もあっさり西の彼方に去り
今はこのファンクなマイルスが家で車内でガンガン鳴り響いている。
リメイン・イン・ライト”をひっさげて来日したデイヴィッド・バーンは
マイルスのこの”オン・ザ・コーナー”を
ヘッド・フォンで聴き続けていたのだそうで
なんだか凄くうなずける話なのだが
よりイーノの色が濃いバーンとイーノの共作”ブッシュ・オブ・ゴースツ”は
テープ編集に重きをおいたプロダクションという共通項もあって
さらに手触りが近い。
この二作に聴き惚れていた80年当時にそれがわかっていたら
ここ30年ほどの自分の音楽の旅もずいぶん色合いの変わったものになっていたと思う。

一曲目の頭から途切れることなく突き上げるビートとうねるドローン、
切り裂くようなギターとからみつくワウワウ・トランペットのおかげで
五十何分間ずーっと酔いっ放し。
腰に来るファンクなノリと頭の芯を麻痺させるミニマルな反復がもたらすふらつきたまらなく気持ち良く
ついまた頭から聴き始める体たらくだ。
もの凄くたくさんの音がつめこまれていても
無駄な音がまったくない。気がする。
音と音の間の緊張感は引きちぎられる寸前のロープみたいだのに
このただ事でない和み感は何でしょう。
何十回聴いても一向にメロディが頭にはいらないけれどまるで気にならない。
そんな意味ではこのアルバム、
ラップやテクノの世界にも大きな恵を与えていたのかもしれない。
72年の発表当時こんなものを聴いていたジャズ・ファンからすれば
ロックを聴いてる連中が気の毒に思えたかもしれないけれど
ほとんどのジャズ・ファンからはそっぽを向かれたそうだから
世の中は皮肉で面白い。
ニュー・ブラック・ミュージックと呼んで評価してたのは
中村とうようさんくらいじゃなかったろうか。
ああせめて80年代のうちに出会いたかったなあ。

それにしてもタイトル・トラックのマクラフリンのギターの格好良いこと。
”火の鳥”の頃とは大違い、な気がする。
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by miracle-mule | 2012-03-20 03:45 | 新着CD

ジョー・ヘンリーの夢想



Joe Henry / Reverie
ジョー・ヘンリー / リヴェリー

音数こそ少ないもののどこまでもドラマティックに鳴るピアノ。
リズムのキープを半ばベースにまかせたパーカッシッシヴなドラム。
そしてヴォーカルに込められた息苦しいほど過剰なエモーション。
作品との間に適正な距離を置くスタンスを避けて
作品世界にどっぷり身を浸すようなプロダクションは
曲の良さを少なからず減じているように思える。
が、これが好きで好きでたまらない。
この録音の中の何がこれらの瑕疵を引き受けた上で
他を圧するような輝きを放つのか
未だによくわからままもう三ヶ月休まずに毎日聴いている
僕の2011年のNo.1です。
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by miracle-mule | 2012-01-10 00:26 | 新着CD

青空の向こう..は真っ暗な宇宙

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ザ・ビーチ・ボーイズ / スマイル
The Beach Boys / Smile

まぶし過ぎるほどの日差しが注いでいるにもかかわらず
ほとんど影というものが見当たらない本作を繰り返し聴くうちに
ブライアン・ウィルソンはこの"Smile"が行き詰まる以前から
どこか心を病んでいたのじゃないかと思 えてきた。
彼の繊細緻密な美し過ぎる室内楽は本来その音楽の内にあるべき影を
どうしてか聴き手の心に落としてしまう。
ブライアン・ウィルソンの音楽に深く感動する時
普段経験しないような不安定な心持ちになることがある。
闇を必要としない陽光を閉じ込めた鏡張りの世界は
時として暗黒のリンチ・ワールドなどより実際の効果としてずっと恐ろしい。

ロック黎明期に生まれてかけその40数年後にやっと生まれたポスト・ポスト・ロック

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裏ジャケの集合写真にブライアンの姿はなく
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なぜかほとんど一人で映ってる。
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by miracle-mule | 2011-11-30 23:54 | 新着CD

気違いピエロ

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David Lynch / Crazy Crown Time
デイヴィッドリンチ / クレイジー・クラウン・タイム

リンチの映画を観て本当に怖い思いをするひとってどれくらいいるんだろう。
映像といい音響といい
触れれば美しさと気持ち悪さがべっとりと糸を曵く異様さに
驚きはしてもそれはやっぱり恐怖とは少し違う。
観客の思い入れを拒絶するキャラクターの
カイル・マクラクランやローラ・ダーンの身(と四角い口もと)を案じ
観客が彼らになり代わって恐怖できるものかどうか。
恐怖にしがみつきたい観客を恐怖からひきはがし
宙づりになった観客を気持ち良さと悪さが渾然となった負の快楽に浸して
官能の暗闇で踊らせ続けることが監督リンチの欲望なのじゃああるまいか。

そしてこのクレイジー・クラウン・タイム。
思い切り加圧、減圧され歪められたおどろおどろしいサウンドの
ブルースとブルース・ロックとハウス・ミュージックは
緩急の差はあれどれもデジタルにダンサブル。
上ものがどんなに爛れていても
下部構造のビートはジャストにキープされたままだ。
映画における暗闇のコンダクターは
ここではどこまでも歪み切った自らの歌とギターで
聴き手に熱狂とは無縁な気の滅入るでも脳のどこかを酔わせたダンスを
いつまでも踊らせ続ける。



初期ロクシー・ミュージック(フォー・ユア・プレジャー)にも繋がる魅力の
怪しい傑作。
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by miracle-mule | 2011-11-17 02:14 | 新着CD

霧にまかれて

ジェイムズ・ブレイク / ジェイムズ・ブレイク
James Blake / James Blake

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とにかく一度聴いてみてほしい。
気持ち良さと気持ち悪さがこんな風に表裏一体になってる音楽も珍しくないですか。

曲の元々の形は和声を解体するようなとがったものではなく
概ね親しみやすいオーソドックスなリズム&ブルース風。
メロディに負けないダリル・ホールを思い起こさせる歌声は
やはりダリル・ホール同様失速と落下の感触をもたらして美しい。
聴き手は目が覚めるまでどこまでもゆっくりゆっくり墜ちていく。

その一方でCDの読み取りエラーの如きエディットや
背景で持続している律動と無関係に接がれたクリック音は
内科でエコー検査にかけられてるような気持ち悪さで
実際イヤホンで聴いてるぶんには大音量でも問題ないけれど
スピーカーでドーンと鳴らしたらホントに胃に来て気分が悪くなりかけた。
ひとつの曲の中で異なる律動がせめぎあう新たなグルーヴの胎動だろうか。

で、この気持ち良いと悪いが合わさったらどうなのか。
これはひとによってつくづく意見の別れるところだと思われますが
僕の場合に限って申せば手のひらですくえそうな濃い霧に巻かれて
うっとりしつつ立ち尽くしている感じ。
目下今年のNo.1最右翼です。

The Wilhelm Scream
この曲の頭のところ。
I don't know about my dreams って歌ってたんだ。
パパラパパッパッパンって聴こえるんですけど。

沼津市大岡 509-1 weekend books 内 音楽図書館 miracle-mule
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by miracle-mule | 2011-06-16 01:01 | 新着CD

いい気持ち

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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール/野生の思考

作詞、作曲、編曲、映画評論、小説、エッセイ、音楽講師
おまけにサックスも吹く全方位的才人菊地成孔。
彼の率いるサックス、ピアノ、バンドネオン、弦楽カルテット、ベース、
ハープ、パーカッションからなるミニ・オーケストラ
ペペ・トルメント・アスカラール2006年の第一作。

それにしても音楽の世界は驚きに満ちていると心底思う。
こんなに膨大な不協和音を積み上げて
スリルと安らぎに満ちた猥雑で典雅な音楽を奏でることが
しかも野生の息吹さえ嗅ぎ取れるポピュラー音楽として成立させることが
可能だなんて夢想したこともなかった。
退屈な時間がないわけじゃない。
メロディやコードの展開がまったく読めないし
それ以前にメロディを把握できないのだから。
しかしある時点でひとつのピースがパチリとハマって
快感が背骨を駆け上がり脳の一部をクスりと揺らすと
それまでの退屈がオセロゲームの駒の如く一気に充足へと裏返って行く。
聴く度に繰り返されるこんな快楽のゲームのおかげで
音楽脳の中の不毛な荒野だとみなして来た領域が
いま肥沃な畑地へと拓かれている実感がある。
これまで音楽として受容できなかったものを
これ以上ないといった明るさを持って受け入れられる。
音楽を聴き続けることの悦びのひとつだ。
一生憶られないだろうと思っていた旋律も
今ではけっこうCDに合わせて口ずさめちゃうし。

このような音楽的僥倖をもたらす眠らない天才に感謝。
菊地のタンゴはピアソラより全然いい気持ち!

冒頭を飾るのはゴダール・フィルムの世にも美しいこの名曲
はなればなれに ”    
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by miracle-mule | 2011-06-07 00:53 | 新着CD