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新着案内/ホルヘ・ドレクスレール

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ホルヘ・ドレクスレール/暗がりの12秒
Jorge Drexler / 12 Segndos de Oscuridad

抑制の効いた滋味豊な素晴らしいメロディと
緻密でありながらあたたかさを失わないオーガニックな手触りの音作り。
今はスペインを拠点とするウルグアイ出身のシンガー・ソング・ライターの
去年リリースされた作品です。

もう15年以上の活動歴があるようですが
遅ればせながらつい最近その存在を知りました。
スペイン語で歌われていますが
決して激することのない歌声のおだやかさは
曲によってはジャック・ジョンソンを連想させたりもします。
歌うことの悦びが溢れているところも似ているかもしれません。
ただジャックのおだやかさの裏に秘められたものが
やっぱり喜びなのに(全然秘められてない..)対して
ホルヘの裏側には濃密なメランコリーが透けて見えます。
それがスティングが名作「孤独のダンス」(ナッシング・ライク・ザ・サン
収録)で描写していたように
軍政で埋め尽くされていたラテン・アメリカの不幸な近代史によるものか、
もっと遡ってラテン・アメリカが
スペイン人に”発見”されてしまった不幸によるものか、
それとも彼のごく個人的な理由によるものなのかは定かではありませんが。
メランコリーが激情という土壌で花開いた最も美しい例のひとつが
エクトール・ラボーなのではないかと密かに思っているのですが
ホルヘ・ドレクスレールはおだやかさという思いがけない土地で
想像もしなかった美しい歌を咲かせています。

来年早々リストに入る予定です。
是非耳にしていただきたいと強く願っています。
ラテン・アメリカの非ダンス音楽の探索が
来年のひとつのテーマになりそうな気配がしてきました。

 ♣おしらせ
郵便局が仕事納めということで
今年の発送は終了です。
ご利用ありがとうございました。
来年郵便局といっしょに再開しますので
よろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
      音楽図書館miracle-mule
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by miracle-mule | 2007-12-30 01:48 | 新着CD

新着案内/デレク・トラックス・バンド

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デレク・トラックス・バンド/ジョイフル・ノイズ
The Derek Trucks Band / Joyful Noise

ブルース、ゴスペル、ジャズ、カントリーといった
滋養豊かな養分をたっぷり吸い上げてすくすくに育った若木のようなギタリスト、
デレク・トラックス率いるバンドの2002年作品(サードアルバム)です。
驚きのカッワーリー・ロックの4では
まるで人の声のみたいな彼のギターが
ラーハット・アリ・ハーンの超絶ヴォーカルと見事に”デュエット”してみせ、
ルベン・ブラデスをヴォーカルに迎えた
ラテン・ロック5には出稼ぎ中の我がラテン魂も里帰りして
久々に血沸き肉踊るかっこよさ。
引きの美学が光るファンク・チューン7の浮遊間もたまりません。
もう無茶苦茶聴いてます。
サザン・ロックが苦手という方にもおすすめの一品。
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by miracle-mule | 2007-12-27 01:48 | 新着CD

嘘のサントラ

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村上春樹ついでに
86年頃に作ったカセット・テープをひとつ紹介させていただきます、
85年に出版された「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の
架空のサウンドトラックです。

    A面は「ペーパー・クリップ」side
1, パーフェクト・ワールド/トーキング・ヘッズ
2, スケッチ・フォー・ウィンター/デュルッティ・コラム
3, ドナ/10cc
4, ニューズ/ダイアー・ストレイツ
5, ワー・ユー・ダンシン・オン・ペイパー/オーケストラ・ルナ
6, ソング・オブ・ザ・ウィンド/サンタナ
7, ライフ’ズ・ア・ガス/T.レックス
8, ヘッドエイク/オゥ・ペール
9, サテライト・オブ・ラヴ/ルウ・リード
10,アズ・ザ・ワールド・ターンズ/ブライアン・フェリイ
11,アピタイト/プリファブ・スプラウト
     B面は「夢読み」side
1, マーダー・シー・セッド/ファン・ボーイ・3
2, ヘブン/トーキング・ヘッズ
3, スウィミング/マーサ&マフィンズ
4 グッド・ナイト/矢野顕子とデイヴィッド・シルヴィアン
5, キャンドル・ライツ/ウィッシュボーン・アッシュ
6, アブソリュート/スクリッティ・ポリッティ
7, ア・ソング・フォー・ユー/レオン・ラッセル
8, マスクト・ムード/ブルー・ロンド
9, ビー・スティル/ジョブライアス
10,Mr.ソフト/スティーヴ・ハーレイ&コックニー・レベル
11,ジャスト・ライク・ユー/ロクシー・ミュージック
12,イヤー・オブ・ザ・キャット/アル・ステュワート
13,ハーモニー/エルトン・ジョン

ほとんどが時期的にニュー・ウェイブと
それに影響を与えた旧グラム勢で占められています。
当時の趣味の偏り方がよく出ていますが
今作り直してもあまりかわりばえしそうにありません。
A1と7、B2と4がなかなか効いています。
個人的には結構気持ちよく聴けて気に入っているのですが
村上さんには間違いなくペケを出されそうです。
けちって安いテープを使ってあるのがちょっと侘び寂び。

武田百合子の「遊覧日記」
岸本佐知子の「ねにもつタイプ」
このあたりの虚実皮膜型エッセイのサントラ、作ってみたいです。
ちょっと手に余る強者だけれども。
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by miracle-mule | 2007-12-25 01:56 | プレイリスト

ビル・フリゼール

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ビル・フリゼール/ブルース・ドリーム
Bill Frisell / Blues Dream

壁のようにそびえ立つ巨大なタンクを背景に
闇の中にぼんやりと浮かび上がる
70年代のものとおぼしきモービル・ステーションに人の気配はなく
乏しい明かりは今にも闇に飲み込まれそうです。

トランペット、トロンボーン、サックス編成のホーン隊が描く
86年のデイヴィッド・バーン作品「The Knee Plays」の世界とよく似た
おおらかでのどかな懐かしさはすでに失われたあちら側。
スライド・ギターが醸し出す「パリ・テキサス」を思わせる孤独感はこちら側。
エミール・ガレのトンボよろしく
ふいに現れては消えるフリゼールのギターが
あちらとこちらの間を終始控えめながら自由に往き来して両端の間に回路をうがち
今の時代ならではの昏い子守唄ともいえる世界を作り出しています。
このような回路を”天使”と呼んでもよいように思うのですが、
村上春樹なら”羊男”と名付けるのかな。
いつか「ベルリン天使の詩」がリメイクされる時が来たら
ぜひサントラに使っていただきたいものです。

”あんたが求め、手に入れたものを、おいらが繋げるんだ。わかるかい?”
      羊男(談)『ダンス・ダンス・ダンス』
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by miracle-mule | 2007-12-21 01:29 | アーカイヴス

香りの色

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先日、当館を利用いただいているJ.さんから返却されたCDに
こんなお香が同封されていました。
ピンクには「232 MIRAGE」
ペパーミント・グリーンには「118 BACCHUS」
碧色には「132 BLUISH BLUE」
と印刷されています。
こんなに細いものにどうやって印刷するのだろう。
とてもきれいで毎日しげしげ眺めています。
って、お香は嗅ぐものでしたっけ。
J.さんどうもありがとう。
お友達じゃかじゃか誘っちゃってください。
もちろん県外の方でもOKです。
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by miracle-mule | 2007-12-19 01:50 | day after day

食器洗いに最適なトップ7


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今回は日々の暮らしに役立つようにと選曲してみました。
いかがでしょう。
1 シュガー・シュガー/アーチーズ
2 ヤング・アメリカンズ/デイヴィッド・ボウイ
3 スピックス&スペックス/小さな恋のメロディ・サウンドトラック
4 59番街の橋(フィーリン・グルーヴィ)/サイモンとガーファンクル
5 バナナ・パンケーキ/ジャック・ジョンソン
6 ラスト・ディスコ/加藤和彦
7 ビッグ・バッド・ビンゴ/フリッパーズ・ギター

口ずさむと食器を洗いたい気分がムラムラと湧いてきませんか?
アット・ホームな雰囲気の曲の多い中、
二位のボウイが異色です。
イントロのドラムを聴くと
つい洗い上がったお皿をくるくる回したくなるので困ります。
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by miracle-mule | 2007-12-13 13:41 | day after day

グールド

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グレン・グールド/ゴールドベルク変奏曲
Glenn Gould/The Goldberg Variations

深夜の星は濡れたように瞬き
朝の空気がその輪郭をなぞれそうなくらい固くパリンと冷えて
朝日がいっそう低い角度から差し込むようになると
グレン・グールドのゴールドベルク変奏曲やパルティータの季節。
部屋をゆっくりと舞う細かな塵が
カーテンの隙間から漏れる朝日を反射して
冷たい季節に幸福な光景を作り出すように
右手が放つ光を左手が反射して
グールドのピアノは聴く者を魅了する。
バッハやブラームスにおける
光の粒子が目前ではじけて
飛沫が尾を曵いて飛び散って行くようなピアノの音の連なりを
iPodのボリュームをいっぱいに上げて聴きながら
深夜車を走らせていると
冷たい星の輝きや対向車のヘッド・ライトの効果も相まって
エンドルフィンやドーパミンが脳内に溢れて
運転中だというのにもうクラクラだ。
ピアノの旋律とはかけ離れた唐突なおじさん(グールド)の
うなり声や歌声にギクッと我に返って事無きを得るのだけれども。
そういえば演奏中の彼の表情には
うっとりを通り越して恍惚とした相が浮かぶけれど、
もしやこちらもあんな表情でハンドルを握っていたのか。
近年数学的見地から評価される機会の多いバッハの音楽ですが
宗教音楽として教会に集う人びとを陶酔に導くのが本来の役目であったはずで
こんな聴き方もあながち間違いではないのかも。
いつかステンド・グラスのきれいな教会にiPodを持ち込んで
聴いてみたいものです。
クリスマス・ソングと差し替えてみるのもよいですね。。

60年代半ば以降コンサート活動をドロップアウトしてスタジオにこもり
沈んで行く古典音楽の大陸の中でただひとり
台頭するロックやジャズの前衛たちと時代を並走したピアニストですが
ビートルズをあまり認めなかったもかかわらず
バーブラ・ストライサンドが大のお気に入りだったというのが
いかにもこの人らしく、ちょっとズレていて可笑しくも愛らしい。
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前髪はらり、美神系だった頃
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by miracle-mule | 2007-12-11 00:34 | アーカイヴス

男子の絵本 その1

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シェーカー通りの人びと/Shaker Lane

という絵本がお気に入りです。
アリス&マーティン・プロベンセン夫妻の手になる作品です。
アメリカの架空の町フォスターのシェーカー通りを舞台にしたお話ですが、
シェーカー通りという名は
家具でも有名なキリスト教徒たちの集会所があったことにちなんでいるとの設定で
案外実体験に基づいたお話かもしれません。
主にワーキング・クラスの人たち(名前からするとオランダ系が多いようです)が
住み着いたこの地区を再開発の波が襲います。
話を盛り上げるような悲劇も抵抗もなく
おなじみの人びとははじめはポツリ、ポツリと
仕舞いには次々と荷物をまとめて出て行きます。
家々は人造湖に沈み
おじいさんひとりがボートハウスに犬たちと残る
というだけのシンプルな話ですが
エドワード・ホッパーとはちょっと違うけれど
彼の描く人びとを連想せずにはいられない住民たちの放心したような無表情、
どこかくたびれたアメリカ的な風景、
ところどころに意図的に置かれた構造的にありえないはずの建物などの
一見プリミティヴな絵が
作品を襞(ひだ)の多い繊細で味わいあるものにしています。
貯水池に家々が沈みかけたシーンなどは
村上春樹の”1973年のピンボール”的とも言えそうだし、
ひとびとの暮らしぶりには
レイモンド・カーヴァーが描いている世界と重なるところもあり
”ショート・カッツ”のように故ロバート・アルトマンが
映画化してくれていれば、と惜しまれます。
マーク・ノップラーの音楽がよく似合います。
登場人物たちの生活を想像して
ジェイムス・テイラーを合わせると
人物が動き出しそうです。
翻訳は江國香織さん。
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by miracle-mule | 2007-12-09 02:47 | 本の棚♦♦棚の本

新着案内

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ジョブライアス/謎のジョブライアス
Jobriath/Jobriath

スペイシーな73年のファーストと
ソウル・テイスト豊かな74年のセカンド。
十代、二十代を通してよく聴きました。
30年以上経った今見てもすごいジャケットですね。
久しぶりにアナログ盤を眺めてまたのけぞりました。
ファーストの裏ジャケがまたなんとも、、、。
レトロ・フューチャーという言葉もまだなかった時代に
近未来とノスタルジーをないまぜにしたミュージカル仕立ての
音と視覚のイメージは強烈でした。
つややかな歌声とめくるめくメロディ展開が堪能できます。
せっかくの世界初CD化ですがLPに比べると
音の解像度が上がった分いささか音像がバラけてしまったのが残念。
そうはいっても違ったものには違った愉しみがあるはずで
過剰な孤独感に押しつぶされそうな青年の姿を読み取ってみたりして、
新世紀のジョブライアスを味わいたいものです。
i-Podに入れて久しぶりに退廃の海に溺れてみようかな。
危ない魅力に触れたい方におすすめです。

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ジョブライアス/退廃の街角
Jobriath/Creatures of the Street
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by miracle-mule | 2007-12-06 00:25 | 新着CD

ジョン・ハウランド

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Sunburn サンバーン
John Howland Trio /ジョン・ハウランド・トリオ

ナックという語はもともとこつとか技巧とかの意味ですが
技ありとかヒットとかお気に入りとか
そんな意味合いで勝手に使っています。

さてきょうのナックは先月末に国内発売になった
ジョン・ハウランド・トリオの”サンバーン”。
ジョン・ハウランドのスライド・ギターが売り物のようですが
南部的なブルージーな湿った感じはほとんどなく
サラっとしていてドリーミーな感じ。
ウクレレの代わりにスライドを抱いたジャック・ジョンソンとか?
ジャケットのつくりもジャックの”イン・ビトウィーン・ドリームス”的。
抑制の効いたメロディーと演奏で
続けて何度も繰り返し聴きたくなります。
若き日のダリル・ホールを思い出させる美声も素敵。
流れるようなシャープな演奏が
ジョン・メイヤーの一枚めを思わせたりもしますが
いいとこ取りな感じはありません。
真摯で内省的なところも好感。
おすすめの一枚です。
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by miracle-mule | 2007-12-04 02:39 | アーカイヴス