<   2009年 07月 ( 12 )   > この月の画像一覧

新着案内/怪物の恋

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カサンドラ・ウィルソン/サンダーバード
Cassandra Wilson / Thunderbird

カサンドラ・ウィルソンの歌はぼーっと聴いている僕のこころを
河底よりさらに深いソウルの底まで引きずり込む。
その歌声で通りかかる者を魅了し破滅へと誘うローレライが
ライン河のサイレンだとしたら
96年の”ニュームーン・ドーター”におけるカサンドラは
ミシシッピの褐色のサイレンだった。
10年後のこの”サンダーバード”のアルバム・カヴァーから連想されるのは
見る者を石に変えるヘビの髪を持った妖女メドゥーサか。
歌うことしかできないのに歌声を聴いて欲しい相手は歌を耳にすれば命を失い
振り向いて欲しいひとを目で追えば相手は石になる。
大抵の場合、ひとは怪物を怖れるばかりだけれど
怪物の立場に立てばそれはそれでひとと同じようにつらいことだってやっぱりあって
彼女たちもその遣る瀬なさに石の涙を流すものらしい。
自分が自分であることの哀しみに酔いもせず溺れもせず
淡々と歌われるブルースは
波長の短い波のように聴き手の内側をある時はゆっくり焦がし
ある時はひと息に焼き尽くす。

ベースを核にした素晴らしい音作りはTボーン・バーネット。
ベースのうねりは太い細い速い遅いといろいろあるけれど
どんなに物悲しいメロディを奏でていても
それが鳴っているだけでどこか救われるものがある。
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by miracle-mule | 2009-07-31 01:51 | 新着CD

緑、緑、緑。

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先の土曜日、伊豆は江間付近を走行中
雨が上がって一気に晴れ上がり強烈な日差しが乱舞し始めたところで出くわした緑のモンスター。
ハウスを取り去ったら緑がみっちり家の形に詰まっていそう。

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爆発的に繁茂する緑。
緑と聞けば爽やかさや健康をイメージするように飼いならされてしまった頭をあっさり打ち砕く。

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遺棄されたビニール・ハウスの中で何が起こったのか。
覗き込んでも緑の壁で何も見えない。中に踏み込む勇気は何処を探してもない、いない。留守。

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上から見下ろされる。

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人の手を離れると自然は怖い。
世の中、畏れの対象が多い方が謙虚になって良い、とは言いながら...

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道路の向かいのとうもろこし。
これは安心できる緑色。
畏れもいいけど安心はもっといい。やっぱり?
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by miracle-mule | 2009-07-27 01:44 | 街のバロック

夏のギャラリーNOKUTA

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伊豆の国市のギャラリーnoir / NOKTAさんで開かれている
高田竹弥展「こころをつなぐもの」を見に行く。
このギャラリーいつも静謐で展示物は静けさにも様々な装いがあることを教えてくれる。

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ここが一番お気に入りの小部屋。座ってみたくなる机。住みたい空間。

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静けさは作品によって毎回表情を変える。
今回はとても暖か。

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いつもこの部屋がどう変わって見えるかが作品以上に気にかかる。

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ここに限っては空間が主。作品が従。

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二階の突き当たり。ドアはあってもドアの向こうには何も無い。

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すぐ横の窓から下の様子が見える。いいベンチ。

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反対側の階下はこんな具合。
製材用の古い機械が見える。人格が宿っていそう。

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見終わって帰ろうとしたらなんとお茶を出してくださった。

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乾いた喉にほんのり甘いアイス・ティー。
ごちそうさまでした。
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by miracle-mule | 2009-07-25 21:22 | day after day

続1Q74

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ボウイとトッド
Bowie y Todd

1974年は1984年まであと十年ということで
ポップ・ミュージックの世界でもそれを題材にしたものがいくつかあった。
僕が聴いたのはこのふたつ。
ボウイの”1984” は黙示録的な”ダイアモンド・ドッグス”中の一曲だから当然不穏で緊迫した感じ。
対するトッドは二枚組の ”トッド”(邦題、未来から来たトッド)の最後に置かれた”サンズ・オブ・1984”。
この曲のみ初期ユートピアの面子によるライヴ録音。
しかも二カ所の録音を重ねたオーディエンスのコーラスが希望に満ちた賛美歌みたいに響き渡る。
その10年後の84年からすでに四半世紀。
二十世紀少年の髪真白く染まりしも待ち焦がれし未来未だ来らず、
にゃん。
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by miracle-mule | 2009-07-22 13:23 | アーカイヴス

1Q74

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10cc/シート・ミュージック
10cc /Sheet Music

1974年、友人宅。
未来が窓から降って来た。
一曲目ウォールストリート・シャッフルのイントロが大音量で鳴り響いた時
アーケードの向かいの建物が反射する光は未来からの贈り物のように思え
ギズモやギターの未知のサウンドは光といっしょに
恍惚とした18歳の僕たちの上に降り注いだのだった。
ヒット曲はいくつか放ったものの彼らの音が主流、本流になることはなく
そういう未来は実際には来なかったから
あれは啓示でもなんでもなかったのだけれど
だからこそ過去にもなっていないし古びることもなかった。
そんなわけで10ccを聴くと今でも未来から届く光を
ちょっとした動悸とともに感じることがたまにある。
来なかった未来もひとつの未来には違いないのだ。
名曲”オールド・ワイルド・マン”を含む第二作です。
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by miracle-mule | 2009-07-21 12:36 | アーカイヴス

今日のあちこち

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遅い朝食のあと一番でgrow books さんへ。
珍しいサカナのベタジロウくんに挨拶してから店内探検に。
一週間の間にもう模様替えをされたようで感心しました。

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coyoteを勝手に引き出して撮る。

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同様に「住む」も撮る

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あんまりきれいに並んでいたので知らない雑誌も撮る。
星野道夫特集のcoyoteを購入。
可愛いブック・カバーをいただいて得意気に辞す。

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次いでいつも通り伊豆仁田のカフェ irodoriさんへ。
噂のピーチのショート・ケーキを遂に食す。
これはうまいです。メロンのショートと甲乙点け難い。
来週もいただきます。
でもケーキひとつで二時間はいるからやな客ですね。

夜はirodoriさんのセッティングでケンブリッジの森 にて
オーナーの藤原さん にirodoriさん、つれあいに自分の四人でおしゃべり。
久しぶりに楽しさに我を忘れたついでに時間も忘れて。
藤原さんは話がうまいしirodoriさんは受け上手だし
笑いっ放しの四時間がダッシュで過ぎた。
あんなミーティングなら毎週やりたい。
ケンブリッジの皆さんお世話になりました。
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by miracle-mule | 2009-07-19 01:40 | day after day

新着案内/少しずれてる

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アンドリュー・バード/ノーブル・ビースト
Andrew Bird /Noble Beast

鱒釣りから戻り執事にサーヴされてひとり質素な昼食を終えると
お茶の時間までは領地の見回りとフェンスの修理と庭いじり。
なんてイギリスの没落貴族の出かと思っていたら
どうやらシカゴの人らしい。
そうと知っても10センチくらいは床から浮いたまま暮らしてるような
映画”眺めのいい部屋”のダニエル・デイ・ルイスみたいなイメージは
簡単には覆らない。
典雅な歌声と流麗なヴァイオリン・プレイ、テルミンにも水笛にも聴こえる口笛が作り出すのは牧歌的でありながらどこか遠近が壊れたふわふわの奇妙な世界。
聞き流しているうちにそのふわふわにやられていつしか中毒に。
曲が途中でがらりと趣を変えたり、歌う時に口を開けなかったり(どうしてもそんな風に聴こえる)、
真っ先にルーファス・ウェインライトを想い浮かべたけれど
比べるべきはきらびやかに駆け抜けるルーファスよりも
そこで居ながらにぽっかりと歪んでいるスフィアンかもしれない。

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ループを使った ソロ・パフォーマンス も新鮮。
盛んに楽器を持ち替える様子が寄席芸人みたいで楽しい。
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by miracle-mule | 2009-07-17 01:30 | 新着CD

ロッドとフェイシズの初来日公演パンフレット

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ラメ!ラメ!ラメ!
表紙のグリッターな感じがたまらない。もう無茶苦茶あの頃。
73年かと思っていたけれど開いてみたら74年とありました、武道館。
ロッド若くて自由闊達。
自在に動き歌い見栄を切り、
自分見蕩れ聴き惚れ、踊り暴れて椅子を壊して。
いっ時も立ち止まらないノンストップの大パーティ。
ロン・ウッドはフェイシズが一番似合い。
ロッド、サッカー・ボールをいっぱい蹴りまくり袖で観ていた友人が見事にチャッチ。
うらやましかったです。
トール君、僕のじゃなくて君のあのボール、どこへ行ったのでしょうね。

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終いの方の広告も気分出してていい感じ。
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by miracle-mule | 2009-07-13 01:42 | 俺様くんの宝石さ

grow books

grow booksって個人でやってる本屋さんが隣町にあるらしい。
ネットで見つけたつれあいが、休みになったら連れて行けと言うので早速行ってみた。

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絵本も文芸もビジュアルな本もコミックスも徹底して
店主さんの眼鏡にかなったものに絞り込まれているようで壮快。
渡辺淳一も東野圭吾も週刊新潮もCan Canもない。
女性自身もSmartもない。
品揃えの体脂肪が極めて少ない。
そのかわりケルアックがある。バロウズがある。
酒井駒子がある。クラフト・エヴィング商会がある。たっぷりある。

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極めつけはセレクトされた雑誌の数々。
Studio Voice、kuːnel、ブルータス、ミュージック・マガジン、coyoteなどなど
当該の月号だけでなくバックナンバーまでが新刊でずらりと並んでいる図は圧巻です。
今どきこんなに志高く勇気のある書店があることがもううれしくてならない。
ブログはこちら
もしくはリンクからどうぞ。
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by miracle-mule | 2009-07-11 23:04 | day after day

再訪月江寺ちょっとおとな編

先の週末、ほぼ一年ぶりに富士吉田の月江寺界隈を訪ねました。
居心地が良すぎるカフェ・月光さんで長居が過ぎ
時間が押して街巡りは駆け足で。
今回は去年歩いた月江寺商店街のひとつ南の通りがターゲット。

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メイン・ストリートでいきなり遭遇して肝を冷やした洋品店。
何も申し上げることはございません。
物憂い視線と神経の行き届いた指先が多くを語っています。


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だんだんに深みと凄みを増していく町並みに浮き足立って来た頃合いを
見計ったように出現したのがこのお店。
ここまで衝撃的な店名、看板を他に知らない。
”愛人”のドアを開けて八代亜紀が「いらっしゃい」って微笑んだら..
とても生きてN市の地は踏めそうにない。
ヒッチコックの”鳥”さながらに配偶者の手をとって車まで一目散。
事無きを得て胸を撫で下ろす富士五湖道路への道すがら
さらにこんな物件を発見しちゃった。

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ゲ・ボ・イ・テ...?
見間違いかと引き返してみたがやっぱりゲボイテ。
なんだ逆さに読むのかと右から読んだらテイゲ... もっと変。
とんでもない看板と謎を背負ったまま帰れない。

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この重い荷物どこへ降ろしたものかとカフェ・Cremaさんへ。
気持ちよく全部引き受けてくれました。
お土産まで貰って大満足。

三日間あらゆる角度からゲボイテを考えぬいたあげく
先刻天啓を得て謎が氷解いたしました。

ゲ・月江寺の”愛人”に
ボ・ボトルを入れてあるんだぜ
イ・いっしょに行こうって
テ・手ぇ握るあんた
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by miracle-mule | 2009-07-08 02:33 | 街のバロック