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中山ラビの”MUZAN”

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水色の恋といえばいかにも爽やかなイメージが浮かぶけれど(真理ちゃん)
緋色の恋をいうとこれはもう恋の炎に灼かれた
狂おしい情念渦巻く物語といった感じで
本作はドラマティック好きの加藤和彦の仕事の中でも突出して
緋色、緋色、緋色の世界
今更ながらに溺れてみたいよな恐いよな。
ラビさんの歌はちょっと濃過ぎて
すっかり脂っ気抜けたこの身にはちと荷が重いけれども。

加藤作品には浜田真理子にカヴァーしてほしいと思う作品がいくつかあって
この作品集もしっとりかつさらっとした浜田さんのアルトで聴いてみたい。
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by miracle-mule | 2009-10-30 02:27 | ノート

ブリーカー・ストリートの青春

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役者のたまご達の日々を描いたポール・マザースキーの名画
”グリニッチ・ヴィレッジの青春”に想を得たらしい この曲
大貫妙子の名曲揃いのアルバム”アバンチュール”の中でも
格別に親しみやすく
加藤和彦のドラマティックな演出は聴き手に歌の物語を
あたかも自分の体験であるかのよう思わせて胸に甘苦い傷を残す。
前作”ロマンティーク”の”果てしなき旅情 ”といい
こういう物語のくっきりした曲を扱わせると
この人の手さばきは魔術的。
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by miracle-mule | 2009-10-26 02:33 | ノート

歌謡を掘り下げて世界に出会う

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加藤和彦というひとはずいぶんな洋風かぶれではあったのだけれど
いつも松山猛、安井かずみといった作詞家と組んで曲作りをしていたとはいえ
歌詞は執拗なくらい日本語の使用にこだわっていた。
それは彼のパブリックなイメージにそぐわないように思えるくらいなのだが
海外の最先端のモードや技術をいち早く取り入れて
ルンバやマンボ、チャチャチャやタンゴなど
忘れられかけたノスタルジックなリズムと掛け合わせて
日本的なものへの安易な回帰を避けながら
日本語でイメージできる歌の世界(歌謡の領域)を
飛躍的に押し拡げるという難しい作業をしてきたひとなのだから
どうしても日本語でなくちゃならないのだった。
そうして安井かずみさんとのあいだに残された80年代のソロの諸作品は
ポピュラー音楽の世界的な財産というべき果実なのに
追悼番組や記事などでそこだけすっぽりスルーされている現実には
本当に落胆させられるしファンとして無念でならない。
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by miracle-mule | 2009-10-22 02:08 | ノート

うたかた

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なんでこういうことになるのだろうか。
伊丹十三さんの時も思ったんだ。
こういうひとの生きにくい時代になったのか
違う時代の空気を吸っていたら死なずにすんだんじゃないかって。
新しいソロ・アルバムはいつになったら聴かせてもらえるのかと
折りに触れて妻と話していましたが
それも二度と叶わぬ夢になってしまった。
加藤和彦さんは少年期、青春期の僕たちの憧れであり手本だった。
素晴らしい音楽をたくさんありがとうございました。
やすらかに。

本当に悲しくてやりきれないよ、トノバン。
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by miracle-mule | 2009-10-17 21:10 | day after day

コーネルごっこ

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ありきたりのものでも箱に入ると
いつもと違ったを貌を見せたり
棚やテーブルの上にあった時にはなんの関連も無さそうなものたちが
意外な結びつきを持ったり
そこだけで完結したような閉じた世界を作ってみたりと
箱には不思議な磁場が備わっている。
irodoriさんにお借りした箱の様子があまりに良くて
お返しする前にいたずらに部屋の中のあれやこれやを詰め込んで遊んでみた。
...楽しい..。
龍安寺の石庭みたいなのもいいし
サージェント・ペパーズみたいに賑やかなのもいいし。
木でできた自分だけのマイ箱があればなあ。
並べては崩し崩しては並べして
こころゆくまで遊びたい。
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by miracle-mule | 2009-10-16 02:24 | day after day

grow books の秋

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土曜日にまたgrow booksさんにおじゃまして眼の保養。
限られたお小遣いの中でやり繰りするには絞り込みが欠かせず
吉田篤弘”それからはスープのことばかり考えて暮らした”(中公文庫)と
レコードコレクターズ10月号を買うにとどめたのだけれど
ここは見慣れた本や見慣れないのをつついて回るだけで
十分に楽しめるセレクションとディスプレイです。

こんなものまであってビックリ。
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”コーネルの箱”チャールズ・シミック著、柴田元幸訳
これはジョセフ・コーネルの作品がたくさん紹介されている
ほんとに美しい本で是非こちらで手に取って見ていただきたいと
思います。
美しい本のほかにもこんな木造家屋の家並みがあったり
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こんな羊たちが群れをなして草を食んでいたりして
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いつまでいても飽きることがない。
いつも長居してごめんなさいな。
irodoriさんでも毎週言ってるこの台詞..
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by miracle-mule | 2009-10-12 00:20 | day after day

ファゴット

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ホワイト・アルバムの六曲目に
古いレコードからサンプリングしたようなギターで始まる
ジョンの"The Continuing Story of Bungalow Bill "って変な曲があって
今さらながらこれが好きでたまらないのだけれども
二分十五秒を過ぎたあたりから聴こえて来る
木管のような手押しオルガンのような不思議な音色がある。
幾度も聴いてきたはずの曲なのに素通りして意識することになかった
その音色は育ち過ぎたオーボエみたいなファゴットのもので
曲のエンディングを飾り"While My Guitar.."へと
ノンストップで繋がるはずなのだが
リマスター盤を聴いていたら頭の中で別の曲が始まってしまった。

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それはブラジル音楽音痴の自分としては偏愛と言っても差しつかえないほどに
何というか、愛して止まない”自分を探してPreciso Me Encontrar ”という
カルトーラ(カンデイア作)の76年の曲で
ファゴットはそこでブラジル的憂鬱とでも呼びたくなるものを体現して
ほぼ全編にわたってほとんど主役を演じているのだった。
カルトーラが"Bungalow Bill.."を参照したのかどうか定かではないけれど
八年の時間とロンドンとリオの距離を越えて
太い幹の洞(うろ)を風が鳴らすようなファゴットの響きが
ふたつの才能、ふたつの名曲の間を吹き抜けている。

ファゴットばかりでなく近年フレンチ・ホルンやバリトン・サックスなど
大きな管を気持ち良く聴いています。
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by miracle-mule | 2009-10-09 03:17 | ノート

スクラップ・ブック

80年頃に親友から譲り受けたスクラップ・ブック。
イギリスの音楽紙などから切り抜いた
ブライアン・フェリーをはじめスパークス、ボウイ、
コックニー・レベルなどふたりのアイドルのグラビアといっしょに
パンク以前の70年代ロンドンの香りがぎっしり詰まってる。
他にふたつとない宝物。

フェリー
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ロクシー
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スパークス
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ボウイ
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セイラー
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スティーヴ・ハーリーとコックニー・レベル
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表紙
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たまに開くとふたりしてうっとり酔いしれていた
十代の日々がそれほど懐かしくもなく
はっきりくっきりと思い出される。
今と違って音楽が耳じゃなく皮膚に染み込んで来た年頃。
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by miracle-mule | 2009-10-06 00:08 | 俺様くんの宝石さ

新着案内/ジョー・ヘンリー

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ジョー・ヘンリー / ブラッド・フロム・スターズ
Joe Henry / Blood from Stars

楽団よりは楽隊という言葉が似合う
古色蒼然としたジョー・ヘンリーの曲を聴いていると
いつか見た粒子の粗いモノクロのニュース映画や
ひび割れた写真の家族の風景が思い出される。
雨ふりの古いフィルムの中では
大きな事件も不幸な出来事も心温まるエピソードも
長く時間の波に洗われ白茶けて遠い世界の出来事のように思える。
そこに映っている人の多くはすでにこの世の者でさえない。
が、それは遠くはあってもけっして無縁ではない僕たちの今と地続きの世界だ。
ヘンリーの昔くさい二拍子や三拍子はいつもそのことを露にしてみせる。
古いジャズやブルースや移民一世たちが持ち込んだ故郷のリズム、
大きな太鼓の響き、地を這うようなビートと歪んだ音響、
うめくような管楽器の響きに
白黒の画像が白黒のまま鮮やかに生々しく動き出し
自分を含む色彩豊かな世界がそこに繋がっていると感じる瞬間がやって来る。
未来の名も無き死者たち。
私たちのことだ。

2001年の"Scar"から。
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by miracle-mule | 2009-10-03 01:57 | 新着CD