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メイク・ミー・スマイル

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スティーヴ・ハーリー / アンプラグド
Steve Harley / Unplugged

スティーヴ・ハーリーのヴォーカルとギターとハーモニカ。
ニック・ピン(パイン?)のギターとダルシマーとヴァイオリン。
70年代半ば、ニール・ヤングよりもJTよりも個人的にずっと大事に思っていた
イギリス指折りのソングライター、スティーヴ・ハーリーが
98年にロンドンの小さなクラブで行ったたったふたりのライヴの記録です。

フォーク/トラッド風味が思い切り強調されて
コックニー・レベル名義のアルバムでは
ハーリーの毒気や艶やかさとアラン・パースンズの流麗で劇的なプロダクションの陰に隠れて
見えにくかった曲の奥に折り畳まれた豊かで柔らかな可能性の一端がたっぷり膨らまされている。
まさかディランみたいなハーモニカに導かれた”タンブリン・ダウン”が聴けるなんて思いもしなかった。
年齢なりに声の艶は薄れているし
彼のリズム・ギターがいまひとつ単調で足を引っ張る場面もあるけれど
そうした瑕疵を含めてこれは素晴らしいライヴだと思う。
これはコンサートというより情の深いファンが集った会場といっしょに作り上げた祝祭みたい。
ハーリーが止めるまで合唱し続ける観客たちのなんと幸せそうなことか。
「嫌な奴」が売りなのかと思ってたけどずいぶん愛されてるなあ。
客席で覚えてるとこだけでもいっしょに歌いたかったよ。
it's the best years of our lives..

イギリス映画”フル・モンティ”でも上手に使われていた大ヒット”メイク・ミー・スマイル”。
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by miracle-mule | 2010-03-30 13:01 | 新着CD

ビショップ、リオへ行く

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スティーヴン・ビショップ / ロマンス・イン・リオ
Stephen Bishop / Romance in Rio

突然思い立って30数年ぶりで購入したスティーヴン・ビショップ。
甘い!けどただいまヘヴィ・ローテーション。
前の記事で採り上げたボビーが「男心に男が惚れる義理が重たい男の世界」なら
ビショップは「男が厭うヤワでナンパなでもちょっと羨ましい優男の世界」か。
甘いよ甘い甘すぎるとか言いながら
今度のデートには忘れずにカーステレオに仕込んでおこうと
彼は思いました。
あとマイケル・フランクスが一枚と甘酸っぱいネオアコが一枚あればバッチリいただきね。
やっぱアズテック・カメラかなー、とさらに思う。
なにがバッチリでどういただきなのかよくわからない。
君の目論みの方がよほど甘いし。
彼女の場合はそこまで愚かではないから
本を読んだり店番をしたりボーっとしたりしている時間と空間のひと隅を占めるのが
こんな音楽ならいいなと思ったりする。
そんなビショップの代表曲を集めただけでも大変なのに
それらを乙女好みのボッサ,ブラジリアン・テイストで再演したのだから
これはもう何というか、妬ましい。
”オン&オン”といい”セイヴ・イット・フォー・ア・レイニー・デイ”といい
”ネヴァー・レッティン・ゴー”といい
いやになるくらい素直で良いメロディ。
使い減りしていない声は今も変わらず瑞々しく
もう文句を言わずにおとなしく聴いてます。
”アンダー・ザ・ジャメイカン・ムーン”のセルフ・カヴァーを初めて収録した
アール・クルー、エリック・クラプトン、ケニー・ランキンも参加の2008作。
プロデュースはオスカー・カストロ・ネヴィス。
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by miracle-mule | 2010-03-26 12:32 | 新着CD

作り中 / weekend books

連れあいが営むオンラインの古書店 weekend books
この都度ホントのお店になることとあいなりました。
内装は御殿場の HAPTIC HOUSE さんにお願い。
夫の音楽図書館は閑古鳥まで餓死寸前の体たらくだというのに
ナマイキです。
今家の中は本の雑木林の如きありさまで
棚に収まり切らず床から生えた本のタワーの間を縫うように
体を折り曲げて寝ているのだから情けない。
でもちょっとくらいなら間借りさせてもられるかもしれない
という下心に負けて応援しています。
絵本や暮らしまわりの本、写真集や小説、エッセイに
相談して選んだお気に入りのCDも少々。
ボタンやリボンや紙もの等の雑貨もあります。
伊豆仁田の café irodori さんがお菓子を焼いてくださるそうでこれが楽しみ。

五月中にはオープンできるとよいのですがどうなることやら。
当人、いたって楽しそうに準備しています。
皆様応援よろしくお願いいたします。
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沼津市大岡の物件の前では杏の花が満開。
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by miracle-mule | 2010-03-24 10:47 | weekend books

レイラ、その後

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ボビー・ウィットロック/ ベルボトム・ブルース
Bobby Whitlock / It's about Time

なんとも雄大で暖かでおおらかな歌声。
かつてエリック・クラプトンとともに名作”レイラ”を残した男の歌は
ミシシッピ河口のデルタの肥えた土地のように
ブルースの、ゴスペルの、カントリーの、
幾度にもわたる洪水のおかげで
栄養分をたっぷり蓄えた肥沃な音楽の大地そのものだ。
どこを掘り返しても
腰に電流が走り
みぞおちがチリチリして
最後にソウルが焦げて来る。
07)スタンデイング・イン・ザ・レイン、11)ベルボトム・ブルースの裏声に滲む隠しようもない哀愁に涙また涙の99年出色のサザン・ロック。

ベルボトム・ブルース をクラプトンとの共演で。
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by miracle-mule | 2010-03-22 00:16 | アーカイヴス

男子の絵本 その1の2

シェーカー通り再訪 / Shaker Lane Revisited
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このブログをはじめて間もない頃ご紹介した
アリス&マーティン・プロヴェンセンの絵本”シェーカー通りの人々 ”。
心待ちにしていたアメリカ版の古本が先日届いた。
日本版に比べるとぐっと彩度が低く
長年西日に晒されたペンキ塗りのベランダみたいに色褪せた渋い印象。
その疲れた感じがこの絵本に特有の「くたびれたアメリカ感」に
し過ぎるくらいフィットして
何人もの人手を経てきた古道具のような味わいを醸し出す。
LPのジャケットはイギリス盤に比べるとアメリカ盤は
幾分見劣りしたものだけど絵本はアメリカが凄い。
と小躍りしながらクレジットをよくよく見れば
Printed in Japan by Dainippon Printing Co Ltd.。
あれ?
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by miracle-mule | 2010-03-18 02:48 | 本の棚♦♦棚の本

夜間飛行

ボウイとスコットの”ナイト・フライツ”
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この二月に初めてウォーカー・ブラザースのアルバム
ナイト・フライツ ”のタイトル・トラックをCDで聴いた時
にわかスコット・ファンの自分は心底驚いた。
これって歌付きの”スピード・オブ・ライフ ”(ボウイのアルバム、”ロウ”の一曲め)じゃないの?
近頃すっかりスコット・ウォーカー中心史観に立っていたので
そうかスコットはこんなところでもボウイとイーノに影響を及ぼしていたのだな
これは大発見と勇んでクレジットを見てみると
”ロウ”より一年遅れの78年リリースとある。
ん?
逆?”ロウ”の影響で”ナイト・フライツ”が生まれたの?
こうしてスコット史観はあっけなくつまずいてしまうのだけれども
過日93年の購入以来ほったらかしてあった
ボウイのアルバム”ブラック・タイ、ホワイト・ノイズ”を
たまたま引っ張り出したぐうたらボウイ・ファンの自分は
その六曲目に”ナイト・フライツ ”の文字を見つけて力尽きました。
You Tubeで見てステージでやってたのは知っていたけど
レコーディングまでしてるとは思いもせず
しかもそれは自分の手持ちのアルバムに入っおり
さらに十七年間気付かずにいたわけで
こうなるともはやファンとしてのみならず
人としてぐうたらのそしりは免れず..

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スコットに憧れていたボウイの影響下に生まれたスコットの”ナイト・フライツ”を
十五年後にボウイがカヴァー?
二匹の蛇が互いの尻尾をくわえて輪っかになってる図が浮んで来る。
ふたりの影響の矢印は一方通行じゃなくて
ヴァレンタインとホワイト・デーみたいに行ったり来たりだったのか。
そのあたりの経緯、ご存知の方がいらしたら教えて下さい。
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by miracle-mule | 2010-03-14 00:14 | ノート

聞こえるかい トム少佐

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グレン・グールド / 平均律クラヴィーア第1集、第2集
Glenn Gould / The Well-Tempered Clavier Book Ⅰ& Ⅱ

あまたある鉱物には宇宙創世の秘密が秘められているというし
貝殻には星々の交わす囁きが書き込まれているのだとか。
もしそうであるなら石に手を、貝殻に耳を押し当てて
星の囁きに耳をそばだてれば
聴こえて来るのはグールドのバッハかもしれない。
CD四枚からなるこの平均律クラヴィーア集に身を沈めるのは
夜更けの海辺で星空をひとり見上げるような体験
何だかわからないけれど何かがわかってしまった、
降って来た何かが脳を通り越して腑に落ちた、
といったような体験です。
同じグールドでもベートーヴェンではこうはいかない。
星々の間を埋め尽くす暗闇を更に煮しめたような孤独を背景に
彼の指先からこぼれる一音一音は
星から滴り落ちる雫のように冷たく甘い。
暗黒の宇宙を永遠にひとり漂うトム少佐(デイヴィッド・ボウイ/スペイス・オディティ)に聴こえる最後のシンフォニーもやはりこれと同種のものかとふと思う。

高価な二枚組が二セットというかたちで手のでなかった本作。
ドイツから安価な四枚組で発売になっていたのを知り勇んで購入。
大変な鍛錬と思索の果てに生まれたものとはいえ
単なる音の配列にここまでの力が宿る音楽の不思議に
あらためて驚く一枚というか四枚。
1963年から1971年にかけての録音。

今日もご機嫌で歌って指揮して
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by miracle-mule | 2010-03-10 03:48 | 新着CD

トノバン追悼特集

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KAWADE 夢ムック/追悼 加藤和彦

やっと納得できる加藤和彦特集に出会えた感じです。
全239ページのボリュームもさることながら
論点、視点が多岐にわたっていて
膝を打って同意したくなるもの(いしいしんじ)や
新鮮な切り口に感心するもの(山崎まどか)や
意外な事実や側面に触れられるインタヴュー、対談など盛りだくさん。
他でスルーされることの多い”パパ・ヘミングウェイ”以降のソロ
しっかり押さえられていて溜飲が下がる。
彼に対する批判的な文章も含め記事には書き手の想いがこもっていて
読んでいて気持ちいい。
こういうの大事だよね。
上滑りな礼賛は誹謗中傷と大差ないもん。
「マガジンハウスさん、加藤和彦の写真集を出してください」という
安田謙一さんの意見に一票入れたい。
税別1143円。お薦めです。

ただし乾きかけたかさぶたが気になる方はご用心。
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by miracle-mule | 2010-03-06 02:58 | day after day

サウンド・トラック”デレク・ジャーマンの庭”

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weekend booksに久々に入荷した写真集”デレク・ジャーマンの庭”。
工場群を借景にしたちいさな家。
苔ときのこ、ケールと石ころ、ポピーと錆びたメタルのオブジェの変な庭。
おじさんの表情も実に良くて。
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パラパラとめくっていたらサウンド・トラックを作りたくなって
早速選曲。
だいたいこんな感じです。
スコット・ウォーカーをメインに選んでいったら
異常に美青年率の高い人選になってしまい
なにやら禁断の庭みたいな感じ。

1)Time Operator / Scott Walker
2)Go To Mexico /Cassandra Wilson
3)Blue Spanish Sky /Chris Isaak
4)Kill Zone / T-Bone Burnett
5)Floratone / Floratone -Bill Frisell  
6)Volunteer / Monsterbuck
7)Harry's Circumcision / Lou Reed
8)Another Green World / Brian Eno
9)Persian Love / Holger Czukay 
10)Tilt / Scott Walker
11)Bitters End / Roxy Music
12)She's A Rainbow / The Rolling Stones
13)The Waltz / Lewis Furey
14)Alabama Song / The Doors
15)Oh What A World / Rufus Wainwright
16)Bamboo Houses / David Sylvian
17)Mr. Raffles Man It Was Mean / Steve Harley & Cockney Rebel
18)Sound And Vision / David Bowie
19)It's Raining Today / Scott Walker
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by miracle-mule | 2010-03-03 02:14 | プレイリスト