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思い切って買ってみた。

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デヴィッド・シルヴィアン / マナフォン
David Sylvian / Manafon

デヴィッド・シルヴィアンの目下の最新盤”マナフォン”のデラックス・エディションが今日やっと届いた。
前作の”ブレミッシュ”にいまひとつ乗り切れなくて
躊躇していた新作だったけれど
スコット・ウォーカーの近作二枚"ティルト"と"ザ・ドリフト"を通過した耳にその”ブレミッシュ”がとてもフレッッシュに聴こえ始めた勢いに乗って気合いで買ってみた。
CDとDVDが一枚ずつ、B5サイズのブックレット二冊が布張りの匣に入ってる。
ブックレットも布張りで小さな卒業アルバム風。
正直ブックレットのイラストはいまひとつ好みじゃなくてううっ残念。
今聴き始めた音の方にはちょっと及ばない感じ。
そうは素晴らしい。
薄暗い森の中を歩きながら
森の語りに耳を澄ましているみたい。
聴こえる音や聴こえないはずの声がゆっくり浮かんでは消えて行く。
時間をかけて少しずつ細胞に馴染ませて行きたい。
映像はどんなだろう。
DVDを観るのは億劫な質なんだけど夏までには観られるといいなあ。
絶対いい...はず。
高かったんだし。
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by miracle-mule | 2010-04-27 01:56 | ノート

鏡にのぞく素顔

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スコット・ウォーカー / スコット4
Scott Walker / Scott 4

これは途方もなく美しい。
日に三度はかけているからこの4ヶ月の間に360回は聴いた計算になる。
実際にそうなのだから気持ちの上ではもうとうに千回を超えているのだが
いくら聴いても飽きるどころか一層深くその世界に身を沈めたくなる。
沈めたいのにこちらの力不足でなかなか深いところまで辿り着けず
今日もまたスコット・ウォーカーという巨大な謎のとば口でうろうろしているのだ。

スコット・ウォーカーと聞いて誰もが思い浮かべるのは
まず強靭で透明な神々しいばかりのあのバリトンだろう。
あの豊穣でクールな歌声を
僕たちはごく普通に彼の声として受け止めているけれど
果たしてあれは彼にとって自然なものなのだろうか。
考えてみれば当たり前の話だがあれは地声ではない。
数あるバリエイションの中から選びとって磨き上げビルドアップして来た声だ。
この作品に親しむに従って
自分にはあの声が彼の素顔を隠す仮面のように
体を覆う脱げない鎧のように思えてきた。。
そう云えばジョン(レノン)もエフェクターをかけていつも自分の素の声を隠していた。
素顔のままではいられないどんな事態が彼を捉えたのか。
スコット・ウォーカーの歌の世界では自分の心情は直接吐露されることはなく
物語やシークエンスを通して婉曲に語られるものだから
シンガーソングライターのような地声よりは
ビルドアップされた声の方が効果的という計算があるにせよ
そこにその思惑を超えた何かを嗅ぎ取らずにいるのは難しい。
たとえば8曲目の"Duchess"。
伯爵夫人という浮世離れしたタイトルのこの曲で聴かれるヴォーカルははっとするほど無防備で
裏ジャケットのプロフィールそのままにイノセントな少年の面影が濃い。
フォーク・カントリー調の演奏に典雅なストリングスを配した小さな曲なのだが
そんな小品の鏡にうっかり素顔を映してしまったというふうで
仮面の奥の素顔を垣間見たような
開いてははいけない扉を開けてしまったような気がして
何度聴いても脈の早まる思いがする。

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青年スコット・ウォーカーの世界には中間領域が見当たらない。
はにかみを隠せない未熟さと
鉄面皮な老成が直接繋がっている。
よく聴けば彼の歌にはどれもこの両端が埋め込まれていて
その両端が瞬時に入れ替わる彼の世界で翻弄されることほど
スリリングで悦ばしい音楽体験は今他に身当たらない。
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by miracle-mule | 2010-04-23 23:51 | 新着CD

気まぐれ女

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ビル・エヴァンス / イエスタデイ・アイ・ハード・ザ・レイン
Bill Evans / Yesterday I Heard the Rain

なんとか感じを掴もうとこちらから迎えに行っても
まことにつれない素振りなのに
これは無理だわと肩を落としていると
向こうから飛び込んで来たりする。
ポップ育ちの我が身にとって
ジャズと付き合うのは気まぐれ女の尻を追うような(この部分空想)
90%の気苦労と9%のスリルと1%の悦楽がある
..あるはずだ。
昨日と同じCDをかけても今日同じところで胸が騒ぐとは限らないけれど
今日の一カ所を起点にしてオセロの駒のようにすべてが一気に裏返って
輝き始める時の心持ちはやはりこんな風に喩えるしかない気がする。
ビル・エヴァンスのこのアルバムでも
耳がピクンと来る曲、瞬間はいつも異なる。
今日も聴かぬ振りをしながら聴くともなく聴いていると
捕まえに来たのは"What Are You Doing the Rest of Your Life?"だった。
スコット・ウォーカーも歌ってたミッシェル・ルグランのあの曲だ。
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by miracle-mule | 2010-04-19 02:38 | アーカイヴス

ずるずる日記

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このところ鼻炎が悪化して咳が止まらず
夜もなかなか眠れない。
医師に相談したところ鼻うがいというものを勧められ
恐る恐る使ってみた。
小さな哺乳瓶様の容器にうがい液を入れ
哺乳瓶の乳首にあたる部分を鼻孔に挿入し
容器を指でつまんで液を押し出すのと同時に
呼吸の要領でちゅうと吸い込むと
うがい液は鼻腔を通って口の中に異物とともになだれ込むという仕組みだ。
痛くはないけどこれがつらい。
賢い人の喩えに「目から鼻に抜ける」というのがあるけれど
「鼻から口に抜ける」のはなんだか馬鹿者みたいだ。
実際に使ってみると
涙は流れるわ鼻水は止まらんわ涎は垂れるわ
新聞は届くわ犬は吠えるわ猫は寝てるわと
もう大変な有り様だ。
なんと言うか馬鹿者を通り越してほとんど痴呆である。
吐き出されてるのは花粉や埃じゃなくて脳みそなんじゃないのか。
で、効果の程はと問われればいくらか効いてるようにも思えるが
翌朝のうがいが怖くってやっぱりなかなか眠れない。
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by miracle-mule | 2010-04-15 03:42 | day after day

Simply Red の Cuba!

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三月に友人が送ってくれた
シンプリー・レッド、2005年のキューバでのライヴDVDを
やっと観ることができた。
素晴らしい!
”ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”でもお馴染みの
古いアメリカ車がゆっくり行き交うハバナの街
導入部から引込まれずにはいられない。
由緒ありそうなオペラ・ハウスがまた凄い。
その会場の威厳に負けじと(ということもないのだろうけど)オーケストラがフィーチャーされているけれど大袈裟にならず抑制が効いていてとても好感が持てる。
それは主役のミック・ハックネルも同様で
後半の爆発までは抑え過ぎと思えるくらい静かに丁寧に歌い継いで行く。
バックのバンドも腕の達者なひとたちばかりだが
これみよがしなところはひとつもなく
かといってショーのために自分を犠牲にするでなし
すべてが良い塩梅に作用していて実に壮快。
ミックのプロデューサーとしての器の大きさが伺える。
それにしても声の力、歌の力というのはすごいもの。
喉一本でひとはここまでも気持ち良くなれるものなんだと
認識を新たにしたライヴであります。
曲も良い。
どの曲もオリジナルとは趣きを異にしているけれど
熟した果実のように香り高い。
どれも良い曲。こんなに良い曲だったんだなあ。
ありがとう。よいものを見せていただきました。
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by miracle-mule | 2010-04-11 23:59 | ノート

マイナー・スイング

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舞台はナチ占領下のフランスの片田舎。
少年の無知と無垢がもたらす悲劇を描いた
ルイ・マルの”ルシアンの青春”を友人と観たのは
もう三十五年も前のこと。
ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリの演奏にも
この映画の導入部で初めて触れた。
暗い診療所の場面から一転
懸命に田舎道を自転車で駆けるルシアンの姿に重なって
それは唐突に始まる。
浮き立つような軽快なビートの上で見事に踊る
マイナー・スイング”の昂揚感と大人の苦みに
少年たちはあっけにとられて声もでない。
物語の悲しさ遣る瀬なさはこの軽快なスイングとの対比で
劇的に深まっていたように思う。
そのDVDが先日届いた。
タイムカプセルを開くような思いがする。
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by miracle-mule | 2010-04-07 13:16 | ノート

まだ頬杖をついてる

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右右左右右。
つくつくつくつく頬杖をつく。
頬杖家、グレン・グールド氏。
生涯をかけて頬杖のポーズに秘められた可能性を追い求めた北の住人、弥勒なお方。
かたわらピアニストもしていたとの噂もあります。
他にも頬杖の憂愁フォト多数。
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同、ブライアン・フェリーさん。
もちろんこのひとも究めてますね。
歌手経験有り。
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よく見ると瞳に閉じ込められたスコット・ウォーカー氏の物思いに耽る姿が。
明日は休日。
もう頬杖つき放題。
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by miracle-mule | 2010-04-03 02:00 | ノート