<   2011年 04月 ( 5 )   > この月の画像一覧

センチメンタリスト

c0131206_18193151.jpg
ミック・ロンソン / プレイ・ドント・ウォーリィ
Mick Ronson / Play Don't Worry
 
日常の足場を浸食するようなスリルを持った音楽が
目下一番の関心事ではあるのだが
見たこともない光景こそ見せてはくれないものの
世間の約束事をしっかり守ってその枠の中でアイデアと技術の粋を凝らして
見覚えのある物語の中へ誘い泣かせ笑わせ腰を揺らせてくれる
そんなタイプのポップミュージックももちろん大好きだ。
かつての相棒ボウイがポップと芸術のあわいを住処として
商業的手にも大きな成功を収めたのに対して
ロンソンはポップの領域に留まって売れないながらもとても良い仕事をした。
時おり轟音やノイズも轟き渡るのだけれども
それが聴き手の意識を見知らぬ場所へと導いたりすることはない。
その代わりに馴染んだいつもこの場所へ
ロマンティックな電気仕掛けの微睡みみたいな時間をたっぷり運んで来てくれる。
ロシア〜コサックな縦ノリがウッハ、ウッホとご機嫌なビリー・ポーター
ルー・リードの”ホワイトライト・ホワイトヒート”は
この曲の何処にこんな親しみやすい旋律が隠されていたのかと驚くほどメロディアス。
第一級のセンチメンタリストとしての資質が爆発的に開花した
"ディス・イズ・フォー・ユー ”と
エンプティ・ベッド ”(ルチオ・バティスティ!)を聴いてほしい。
もうあなたのベッドはもらい涙でびしょ濡れだ。
センチの海に溺れたい時にこの二曲を流すのなら
僕はいつでも喜んでお伴して一緒に涙を流しましょう
っていう感じ。
そして大声で支持したいボーナストラックの”ストーン・ラヴ”
ご存知ボウイの”ソウル・ラヴ”(ジギー・スターダスト収録)を
スカ&カントリー・スタイルに仕立て直した珍品だがこれが滅法気持ち良い。
どんなに塞ぎ込んだ時でもこの曲がかかったなら
まず軽く顎が上下し始め次いでつま先がビートをとり
ついには傷んだ腰もシェイク・シェイク・シェイク。
スカとカントリーという意外なマリアージュで
こんなにウキウキになれるなんて全然知りませんでした。
75年リリースの全然売れなかった無念かつ極上の第二作。
[PR]
by miracle-mule | 2011-04-27 18:12 | アーカイヴス

weekend books 近影

c0131206_1154756.jpg
c0131206_1164198.jpg
c0131206_1181996.jpg
c0131206_1224710.jpg
地震で揺れ続けの脳と乱視の進行のせいで写真を撮ってもモノがブレて写ります。けっして酒や耄碌で手が震えてるのではなく。サイケな感じがヤングミュージック・ショー みたいでなつかしいでしょ。って分かる人最近目が霞んでいませんか。
[PR]
by miracle-mule | 2011-04-25 01:23 | weekend books

機械の森から

c0131206_23364338.jpg
Soul Diet 3

 1)1000 Knives / Yellow Magic Orchestra
 2)Emily Dickinson / David Sylvian
 3)Boy Child / Scott Walker
 4)Beyond Here Lies Nothin' / Bob Dylan
 5)A Thousand Kisses Deep/ Leonard Cohen
 6)Pretty Flowers Were Made For Blooming / Bill Frisell
 7)In The Real World / Roy Orbison
 8)Blue Spanish Sky / Chris Isaak
 9)Dead Man / M. WardTransfiguration Of Vincent
10)Justified And Ancient / The KLF
11)Tumbling Down / Cockney Rebel
12)Limbo / Bryan Ferry
13)Old Wild Men / 10cc
14)I Want You (She's So Heavy) / The Beatles
15)I Talk To The Wind / King CrimsonIn
16)O Estrangeiro / Caetano Veloso

車のアクセルをふかす音、踏切で遮断機の降りる音
アナログレコードのスクラッチ音、CDプレーヤーのモーター音
工場の旋盤の、道路工事のドリルの立てる音。
場合によっては疎ましいばかりの騒音も
磨きをかけて置くべき場所に置かれると
木立を抜ける風の、打ち寄せる波の、こどもの寝息の立てる音のように
親密に響く。
それはかき鳴らされる楽器のノイズでも同じこと。
ひそやかに鳴るノイズは祈りを載せるビークル。

蒸気機関が現れてからというもの
祈りを届けたり人を惑わせたり導いたりする
妖精だとかゴーストだとかいった連中は
次々に森の奥から都市部へ郊外へと移り住み
20世紀の妖精たちのはしゃぎ声やゴーストたちの呼び交わす声は
インダストリアルなノイズの中に潜んできたのだが
昨今彼らの引っ越しがまた始まった気配。
自分に取ってのそれは音楽の録音メディアがとうとう回転するのをやめた時から始まったように感じる。
新しい住まいはいったい何処でそこから響いてくる新世紀のノイズは
どんな姿をしているのだろう。
デヴィッド・シルヴィアンによる「ノイズの弾き語り」みたいな
”エミリー・ディッキンソン”が聴こえてくると
これがそうなのかなあとついついつらつら考えてはぼうっとしている。
[PR]
by miracle-mule | 2011-04-18 01:10 | プレイリスト

目下の一曲 1

c0131206_1313878.jpg
ザ・ビートルズ / アイ・ウォント・ユー

高校時分怖くてひいひい言いながら聴いていたベスト3が
キング・クリムゾンの”21世紀の精神異常者”と
マイク・オールドフィールドの”チューブラー・ベルズ”と
ボウイの”永遠に周り続ける骸骨家族の歌”
が、上には上がというか下には下がというか
あんまり怖くて聴くに聴けなかったのがビートルズの(ジョンのと言った方がいいかもしれない)この曲。
たいてい”アビイ・ロード”はこの曲を飛ばして聴いていました。
微妙にアレンジをずらしながら執拗に繰り返される異様にシンプルなリフ。
痛々しいほど弱々しいすがりつくようなジョンの歌声。
その声を踏みつけにして瀬戸際へとジョンを追いつめるかのごとき
堂々とうねる(好人物で無神経な)ポールの圧倒的に見事なベース。
そして砂嵐のノイズと避けようもなく訪れる
ジョン・レノンが「ビートルズのジョン」を葬ったあの衝撃の7分45秒。
”アビイ・ロード”は裸足のジャケット写真から
ポールの死亡説が流れ出したいわくつきのアルバムでもあるのだが
あの時亡くなったのはもちろんポールではなく
ひとりのビートルとしてのジョンだった
というのがこの頃この曲を聴く度に頭をもたげる僕の邪推なのだけれど
だからこそ自分の最も深いところへ届く祈りの歌として
聴こえてくるのではなかろうかこの曲は。
[PR]
by miracle-mule | 2011-04-08 03:26 | ノート

報告2

c0131206_1524882.jpg
義援金募金第二弾を7-11に預けてきました。
今回はレモンマーマレードと
岩手のリトルマガジンてくりの売り上げの一部に
音楽図書館利用者の皆さんのご好意を合わせ
合計5842円になりました。
前回分も加えると総計15842円になります。
ご協力ありがとうございました。
4月いっぱいまで継続いたします。
引き続きお力添えをお願いいたします。

もう一週間もすればあの日からひと月。
震災を境に歴史が別の次元に移動したような気がする。
世の中が音を立てて変わって行く。
[PR]
by miracle-mule | 2011-04-03 02:16 | day after day