新着案内/スノウ・ドロップの歌声

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バシュティ・バニアン/ジャスト・アナザー・ダイアモンド・デイ
Vashti Bunyan / Just Another Diamond Day

ピカソやベートーヴェンのように制作に没頭していないと発狂してしまいそうな
天才やそれに類するひとたちのはじめにアートありきという
有無を言わさぬ圧倒的な世界に翻弄されるのは愉しい。
一方何より優先すべきは暮らしぶりであって
アートはあくまでその反映、というひとたちの
近況報告や旅先で投函された絵葉書みたいな人柄に溢れた作品には
天才たちの創るものとはまったく違った親しみがあってこれまた愉しい。
暮らしぶりを横糸に心持ちを縦糸にして織り上げた曲を
ギター、フィドル、バンジョー、マンドリン、ホイッスル、アイリッシュ・ハープといった生楽器
そしていくぶん開き気味ののどから生まれる
くっきりした輪郭を欠いた清澄な歌声で染め付けしたこの作品は
よく干されて陽の光をたっぷり吸い込んだ毛布のようでもあり
微風にそよぐカーテンのようでもあり
長年使い込んだ膝掛けのようでもあって
聴き手の身を覆う空気の質をゆるやかで親密なものにしてくれる。
共感と羨望とともにその暮らしぶりを思い描きつつ
おぼろげな音の響きを心を込めて聴く。
70年にリリースされた英国圏フォークの系譜に連なる奇跡的な一枚。
スノウ・ドロップみたいな歌声はこちらで。
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by miracle-mule | 2009-01-17 22:08 | 新着CD
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