本に呑まれて その8/そこは地の果て...

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ミカエル・ニエミ/世界の果てのビートルズ

ロックを梃子にした成長物語の
”青春デンデケデケデケ”や”翼はいつまでも”の甘酸っぱさを求めて読んでみたら
ちょっと様子が違って
そこには甘酸っぱさよりはサローヤンの”我が名はアラム”の
フレズノの村や人々を思い起こさせる
滑稽で情けないくらい物哀しいエピソードがパイ状に積み重なっていた。
舞台はスウェーデン北部のフィンランド国境に近い辺境の村。
マグレブやパタゴニアとともに強烈に最果て感の漂う地域です。
このただの田舎では済まされない田舎の少年が
ビートルズに感電したらどうなる。
友だちは、女の子は、大人たちはどう動く。
という以前にここいらの野卑な連中にとって文化って何。
寒い土地、一族、酒、暴力、宗教、共産主義者、思春期とサウナ。
哀しく、滑稽で、痛々しく、どこか歪んだ人々。
ひとの悲哀は他人の目にはいつだって滑稽なものだし
真剣であればあるほど更に可笑しい。
逆に滑稽さは他人の哀れみを誘うし
人生は悲哀と滑稽の反復でできているみたい。

新潮社クレスト・ブックスただ今打率十割。
全部面白い。
装幀もいいし、ページが変色しなければ完璧なのにね。
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by miracle-mule | 2009-02-02 02:20 | 本の棚♦♦棚の本
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