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新着案内/運命のひとひねり

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Bryan Ferry / Dylanesque
ブライアン・フェリー/ディラネスク

ブライアン・フェリーという人を造園家に例えるならば
初期ロクシーの彼は幾何学的なフランス式庭園の、
”フレッシュ&ブラッド”以降は自然の風景を模したイギリス式庭園の
庭師だった。
いずれにしても自分の内面を庭という形に映し出していたのだけれど
2007年のこのディラン作品のカヴァー集では
彼はもはや庭師であることをやめて
自ら庭の要素の一部となってしまったかのようだ。
「フォーカル・ポイント」 。
それは例えば荒涼としたオキーフの庭のバッファローの白い頭骨であり
老境という庭の遺棄された天国のドア、傾いた見張り塔であり
変わった(もしくは変わらなかった)時代の残骸だ。
ブライアン・フェリーは衰えてしまった。
かつて身の内に収まり切らない才気を音をたてて放電させていた男は
今や息を飲む色彩感もあでやかな表現も目を見張るアイデアも失い
謎めいて艶やかな歌声は細り掠れてすり切れたベルヴェットのようだ。
残されたのは更なる老いへの道とこの人のダメさだけかもしれない。
でも僕はこの人と一緒に老いて行きたいと思う。
彼のファンなら何となく分かってくれるのじゃないかと思える
そのダメさと老いの中にこそまだほとんど手つかずの
ーディラン翁だけが気づいて試掘しているようなー
魅力の鉱脈が掘り出されるのをじっと待っているような気がするから。
魔法使いの本当の物語は魔法を失ったところから始まるのだ。
桜の花の満開の下”運命のひとひねり”を聴きながら走り抜けると
そんな風に思われてウキウキはやる心が止まらない。

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放電期。
by miracle-mule | 2009-04-08 02:15 | 新着CD
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