屋根裏遊覧日記

c0131206_0134588.jpg














Tボーン・バーネット/トゥルー・ファルス・アイデンティティ
T Bone Burnett / The True False Identity

ゾンビ、モージョ、ヘル、テキサス、バグダッド、フィア・カントリー、ザイオン(エルサレム)メッカなどなど
今回もおどろなアイテムを取り揃えて異教の儀式を覗き見るようなアトラクション、主人公の不健全な行いの追体験に聴き手を誘う。
異教を異教にするのはその教義でもなければ祭祀でもなく
それを覗き見る行為の中にあり、窃視者の興奮や陶酔の中にある。
と仮定するとこのダークなアトラクションの主人公にTボーンほどふさわしい人もいない。
トム・ウェイツは汚過ぎ、ジョー・ヘンリーでは善人に過ぎる。
聴き手はTボーンの視点を借りて屋根裏遊覧の旅に出る。
彼がこのためにしつらえたのはメロディをできる限り節約し
徹底してリズム・トラックにこだわったパーカッシヴな音楽だった。
ダブのように床を這うベースをひしゃげた音色のドラム、出自の定かでないパーカッション、打楽器の如きギターが分節して行く隙き間に
不意に顔を出すメロディが乾いた舌にたまらなく甘い。
その甘みに深く酔いつつも次のリズムの渦に巻き込まれるのを心待ちにしている自分がいる。
ここで我々は心というものがメロディの甘みを求めるのと同じ強さで
厭うてもいるらしいということに思い当たる。
メロディに埋め尽くされると時として流れは淀んでしまう。
さらに一見仲睦まじく見えるメロディとリズムではあるけれど
実のところメロディはリズムのくびきから、リズムはメロディの呪縛から
解き放たれたいという欲望を互いに隠し持っているのじゃないか
という疑いも頭を掠めるTボーン06年の傑作。

09”ベイビー・ドンチュー・セイ・ユー・ラヴ・ミー”は何故か陽水の”誘惑”にうりふたつ。
01のZombie Landのベースラインも”リバーサイド・ホテル”を思わせる。
このふたり、ぬめり具合もちょっと似ていていつか一緒に仕事をしてくれないものかと..密かに願っている。

c0131206_0152174.jpg















"Earlier Baghdad" は 緋色の匂い。
[PR]
by miracle-mule | 2009-05-22 00:16 | 新着CD
<< 川ベリで待つ もうすこし待ってて >>