新着案内/怪物の恋

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カサンドラ・ウィルソン/サンダーバード
Cassandra Wilson / Thunderbird

カサンドラ・ウィルソンの歌はぼーっと聴いている僕のこころを
河底よりさらに深いソウルの底まで引きずり込む。
その歌声で通りかかる者を魅了し破滅へと誘うローレライが
ライン河のサイレンだとしたら
96年の”ニュームーン・ドーター”におけるカサンドラは
ミシシッピの褐色のサイレンだった。
10年後のこの”サンダーバード”のアルバム・カヴァーから連想されるのは
見る者を石に変えるヘビの髪を持った妖女メドゥーサか。
歌うことしかできないのに歌声を聴いて欲しい相手は歌を耳にすれば命を失い
振り向いて欲しいひとを目で追えば相手は石になる。
大抵の場合、ひとは怪物を怖れるばかりだけれど
怪物の立場に立てばそれはそれでひとと同じようにつらいことだってやっぱりあって
彼女たちもその遣る瀬なさに石の涙を流すものらしい。
自分が自分であることの哀しみに酔いもせず溺れもせず
淡々と歌われるブルースは
波長の短い波のように聴き手の内側をある時はゆっくり焦がし
ある時はひと息に焼き尽くす。

ベースを核にした素晴らしい音作りはTボーン・バーネット。
ベースのうねりは太い細い速い遅いといろいろあるけれど
どんなに物悲しいメロディを奏でていても
それが鳴っているだけでどこか救われるものがある。
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by miracle-mule | 2009-07-31 01:51 | 新着CD
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