気違いピエロ

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David Lynch / Crazy Crown Time
デイヴィッドリンチ / クレイジー・クラウン・タイム

リンチの映画を観て本当に怖い思いをするひとってどれくらいいるんだろう。
映像といい音響といい
触れれば美しさと気持ち悪さがべっとりと糸を曵く異様さに
驚きはしてもそれはやっぱり恐怖とは少し違う。
観客の思い入れを拒絶するキャラクターの
カイル・マクラクランやローラ・ダーンの身(と四角い口もと)を案じ
観客が彼らになり代わって恐怖できるものかどうか。
恐怖にしがみつきたい観客を恐怖からひきはがし
宙づりになった観客を気持ち良さと悪さが渾然となった負の快楽に浸して
官能の暗闇で踊らせ続けることが監督リンチの欲望なのじゃああるまいか。

そしてこのクレイジー・クラウン・タイム。
思い切り加圧、減圧され歪められたおどろおどろしいサウンドの
ブルースとブルース・ロックとハウス・ミュージックは
緩急の差はあれどれもデジタルにダンサブル。
上ものがどんなに爛れていても
下部構造のビートはジャストにキープされたままだ。
映画における暗闇のコンダクターは
ここではどこまでも歪み切った自らの歌とギターで
聴き手に熱狂とは無縁な気の滅入るでも脳のどこかを酔わせたダンスを
いつまでも踊らせ続ける。



初期ロクシー・ミュージック(フォー・ユア・プレジャー)にも繋がる魅力の
怪しい傑作。
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by miracle-mule | 2011-11-17 02:14 | 新着CD
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