ザ・ビーチ・ボーイズ / スマイル
The Beach Boys / Smile
まぶし過ぎるほどの日差しが注いでいるにもかかわらず
ほとんど影というものが見当たらない本作を繰り返し聴くうちに
ブライアン・ウィルソンはこの"Smile"が行き詰まる以前から
どこか心を病んでいたのじゃないかと思 えてきた。
彼の繊細緻密な美し過ぎる室内楽は本来その音楽の内にあるべき影を
どうしてか聴き手の心に落としてしまう。
ブライアン・ウィルソンの音楽に深く感動する時
普段経験しないような不安定な心持ちになることがある。
闇を必要としない陽光を閉じ込めた鏡張りの世界は
時として暗黒のリンチ・ワールドなどより実際の効果としてずっと恐ろしい。
ロック黎明期に生まれてかけその40数年後にやっと生まれた
ポスト・ポスト・ロック。
裏ジャケの集合写真にブライアンの姿はなく
なぜかほとんど一人で映ってる。