匙加減

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Stan Campbell / Stan Campbell
スタン・キャンベル / スタン・キャンベル

流行というのはあっという間に過ぎ去るものだけど
まったく時代の刻印のない音楽が時代を超えるともまた思えない。
どのような時代でもその時代なしに次の時代は存在しないのだから。
時代を正しく纏った音楽は一時古臭く思われることがあっても
折りに触れて必ず復権するものだ。
時代遅れになることを回避することを第一義に時代の音を避退ける態度は
その姿勢ゆえに普遍性を自ら遠避ける。
この十数年最も敬遠されてきたのが80年代後半の
ドットの粗いデジタルなサウンドなのは間違いないところなのだが
その時代の音だからという括りでアウトと決めつけるのも
流行りの音に踊らされるのとまた同じ態度で
バランス感覚に優れ匙加減を熟知したアーティストは
当然のことながらこの時代にだって少なからずいたのだ。
そういう意味で忘れてもらいたくないのが
このひとのスペシャルAKA離脱後の最初にして最後のこのアルバムだ。
ソウルでカリビアンでラテン・ラウンジでレゲエな構えの曲群が
ポール・ウェラーのノリを良くしてコステロを除湿したような歌声と
デジタルとアクースティックの絶妙にブレンドされた音で描かれ語られる様の
氷の浮かんだぬるま湯に身を浸すが如き心地よさ。
UKソウル、87年の金字塔です。
名曲"Seven More Days" "You'll Never Know"
さらにありがたくもあの'Strange Fruit"を収録。


by miracle-mule | 2012-07-26 02:03 | アーカイヴス
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