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本に呑まれて その2

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小川洋子/偶然の祝福

サンプルCDに応募してくださったaさんが
小川洋子さんの甘い毒が好きですと手紙の中でおっしゃっていらしたのですが
そんな表現がストンと腑に落ちる短編の連作です。
飛行機の嘔吐袋蒐集家の伯母さん。
妙に頼りがいのあるお手伝いのキリコさん。
(この人の小説、よくお手伝いさんが出て来ますね)
主人公の弟を名乗るからだ中に本をつめこんだストーカーまがいの小太り男。
皇女アナスタシアになりきっているおばあさん。
たくさんの奇天烈さんたちがあちら側とこちら側に
様々なレベルで橋を架け往き来します。
彼らをを眺めていた主人公がいつしかその橋をを渡ってしまううらはらを
女性的なリアルさとやさしさと残酷さで
昆虫や鉱石を標本箱に納めていくように
ひとつひとうのお話に封じ込めています。
時にその女性性について行けずに落伍しかけたりもしましたが(時計工場)
ラストのささやかな救済には新しい朝を迎えるような清々しさがあります。
by miracle-mule | 2008-03-01 19:36 | 本の棚♦♦棚の本
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